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血が出る理由を子どもにどう説明する?親が知っておきたい知識

からだ

「なんで血が出るの?」――子どもにそう聞かれて、うまく答えられなかった経験はありませんか?突然のけがや鼻血に驚いて泣く子どもを前に、親も戸惑ってしまうことがあります。でも実は、血が出るのにはちゃんとした理由があり、それを知っておくことで落ち着いて対応できるようになります。

本記事では、子どもにわかりやすく伝える方法や、親として知っておきたい体の仕組みをやさしく解説。とっさの場面でも安心して対応したい方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

▶︎ たとえば子どもには、
「血は、体の中をお掃除したり元気を運ぶ大事なお水なんだよ。けがをすると、そのお水がちょっと出てきちゃうけど、体がちゃんと止めてくれるんだよ」
といったように、やさしく伝えるのがおすすめです。

けがをすると血が出るメカニズムとは?

血液の役割とその重要性

血液は、私たちの体の中を流れているとても大切な液体です。血管という細い管を通って、体じゅうに酸素や栄養を運ぶ働きをしています。たとえば、ごはんを食べて体に入ったエネルギーや、肺から取り込んだ酸素は、血液によって全身に届けられます。

さらに、血液は体にとっていらなくなった二酸化炭素や老廃物を集めて、外に出す手助けもしています。加えて、体温を調整したり、ウイルスや細菌が入ってきたときに戦う「白血球」も血液の中に含まれており、けがや病気から体を守る重要な存在なのです。

つまり、血液は運び屋であり、清掃員であり、体を守る警備員でもある――そんなマルチな働きをしている、なくてはならない存在なのです。

けがによる出血の仕組み

子どもが転んでひざをすりむいたり、指を切ったりすると血が出てきますが、これは体が壊れた部分を修復しようとしている自然な反応です。

皮膚の下には「毛細血管」と呼ばれる細い血管がたくさん張りめぐらされています。けがをしてこの血管が切れると、その中を流れていた血液が外に出てしまいます。これが「出血」です。

でも、血がずっと流れ続けるわけではありません。体はすぐに「止血(しけつ)」というしくみを働かせます。まず「血小板(けっしょうばん)」という小さな細胞が集まり、切れた血管の穴をふさごうとします。その後、「フィブリン」というたんぱく質がネットのように血液を固めて、かさぶたを作っていくのです。

かさぶたができることで傷口が外のばい菌から守られ、体の中では新しい皮膚をつくる準備が進んでいきます。血が出るのは決して悪いことではなく、体ががんばって回復しようとしている証拠なのです。

子どもへの伝え方の工夫

出血の仕組みは難しく感じるかもしれませんが、
「血は、おうちの配達屋さんみたいなもので、体の中をいろいろ運んでるんだよ。けがをするとその道が壊れて、お仕事中だった血が出てきちゃうけど、すぐに体が治そうとするんだよ」
というようなイメージで伝えると、子どもにもわかりやすくなります。

血が赤い理由とその科学的背景

「どうして血は赤いの?」と子どもに聞かれたとき、うまく説明できない方も多いかもしれません。実は、血の色が赤いのは、「ヘモグロビン(hemoglobin)」という成分が関係しています。

ヘモグロビンは血液の中の赤血球に多く含まれていて、酸素を運ぶ役割をしています。このヘモグロビンには鉄分が含まれており、酸素とくっつくと赤く見えるという性質があります。ちょうど、鉄がサビると赤茶色になるのと同じようなイメージです。

ちなみに、血の色は空気とふれるとより鮮やかな赤色になりますが、体の中では少し暗めの赤色をしています。また、タコやイカなどの生き物は、ヘモグロビンではなく「ヘモシアニン」という青い色素を使って酸素を運ぶため、血が青っぽく見えることもあるのです。

子どもがけがをしたときの対応

出血したらどうする?

子どもが転んでひざをすりむいたり、指を切ったりして出血すると、親としてはとても心配になりますよね。そんなときは、まず深呼吸して落ち着きましょう。

出血が見られた場合、最初に行うべきは「止血」です。清潔なガーゼやハンカチを使って傷口をしっかり押さえ、数分間圧迫してください。手元にない場合は、ティッシュでも代用できますが、なるべく早くガーゼに替えましょう。

出血が落ち着いてきたら、流水で傷口をやさしく洗います。泥やゴミが入っていないか確認し、必要に応じて消毒液を使いましょう。その後、絆創膏や保護パッドで覆い、細菌の侵入を防ぐことが大切です。傷の大きさや場所によっては、翌日も清潔に保てているか確認するようにしましょう。

うちでは慌てて手で押さえてしまうことが多かったのですが、ガーゼや消毒セットを玄関に常備してから、いざという時に落ち着いて対応できるようになりました。

必要な受診や治療

応急処置をしても、出血が10分以上続く場合や、血がどんどん流れてくるような場合は、迷わず医療機関を受診してください。とくに以下のようなケースでは注意が必要です。

  • 傷口が大きくて深い

  • 血が止まらない

  • 骨や脂肪のようなものが見える

  • 破傷風の予防接種をしていない or かなり前にしか打っていない

医療機関では、必要に応じて縫合(傷口を糸で閉じる)や、止血剤の使用抗生物質の処方などの処置が行われます。傷口が小さくても、感染のリスクが高い部位(顔・口・関節まわりなど)の場合は、念のため医師の判断を仰ぎましょう。

幼児の出血に関する注意点

幼児は出血にとても敏感で、たとえ少量でも「血が出た!」と大泣きしてしまうことがあります。これは痛みよりも、赤い色や親の表情から「怖い」と感じてしまうためです。

そんなときは、まず親が落ち着いて対応することが大切です。オーバーに反応するのではなく、「大丈夫だよ。すぐ治るからね」と優しく声をかけながら手当てをしましょう。

お気に入りのキャラクター絆創膏を使ったり、「勇者みたいに治そうね!」と声をかけたりすると、子どもも安心しやすくなります。子どもの不安をやわらげながら、体の仕組みを少しずつ教えていくことも大切な教育の一環です。

鼻血の原因とその対処法

ストレスや乾燥による鼻血

鼻血は子どもによく見られる出血のひとつです。特に3〜10歳くらいの子どもは、鼻の粘膜がやわらかく、ちょっとした刺激でも出血しやすいという特徴があります。

原因の多くは、以下のようなものです。

  • 冬場の乾燥した空気による粘膜のダメージ

  • アレルギーや風邪による鼻のかみすぎ

  • 指で鼻をいじるクセ

  • 学校や家庭でのストレス

これらが重なると、鼻の中の毛細血管が破れて出血が起きることがあります。対策としては、部屋を加湿する・鼻の中を清潔に保つ・鼻をいじらないように声かけをすることが効果的です。

うちの子は冬になると毎晩鼻血を出していましたが、寝室に加湿器とワセリンを使った保湿を始めたところ、頻度がぐっと減りました。

片方の鼻から血が出る理由

鼻血が片方だけから出てくることもよくあります。これは、キーゼルバッハ部位(鼻の入り口近く)にある毛細血管が切れたことが原因である場合がほとんどです。

この部分はとても血管が集まっていて傷つきやすく、指を入れたり鼻をかんだりすると簡単に出血してしまいます。

ただし、同じ側から何度も鼻血が出る場合や、血の量が異常に多い場合は、ポリープや他の病気が隠れていることもあるため、念のため耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。

耳鼻咽喉科での診察と治療

鼻血が頻繁に起こる、毎回長時間止まらない、または夜間に何度も起きるような場合には、耳鼻咽喉科での専門的な診察を受けることが大切です。

医師は、鼻の中を丁寧に観察し、出血している場所を確認してくれます。必要に応じて、出血部分を焼く「電気凝固(焼灼:しょうしゃく)法」や、薬剤で止血する処置を行うこともあります。

また、鼻の中の乾燥を防ぐための保湿薬や、抗アレルギー薬が処方されることもあります。繰り返す鼻血は「体質」ではなく、対処できる場合が多いため、放置せず早めの相談を心がけましょう。

赤ちゃんの出血について知っておくべきこと

赤ちゃんが口から血が出たらどうする?

赤ちゃんの口から血が出ているように見えると、親としてはとても驚き、不安になりますよね。しかし、実は「血のように見える」けれど心配のいらないケースもあります。

よくある原因のひとつは、授乳中にママの乳首から出た血を赤ちゃんが飲み込んで、それを吐き戻すパターンです。この場合、赤ちゃん自身が出血しているわけではなく、吐いた母乳にうっすら赤みが混ざることがあります。

また、歯ぐきにおもちゃが当たったり、離乳食のときにスプーンが強く当たったりして傷つくことも。よだれに混じる程度の少量で、すぐに止まる場合は経過観察でも大丈夫です。

ただし、以下のような場合は小児科を受診してください。

  • 出血が何度も続く

  • 血の量が多い、赤黒い血が混じる

  • 元気がなく、顔色も悪い

  • 吐血とともに機嫌が悪くなる

「赤ちゃんは自分で症状を伝えられない」という前提を忘れず、少しでも気になるときは医師に相談する姿勢が大切です。

肛門からの出血とその原因

赤ちゃんの便に赤い血が混じっているのを見つけたとき、親御さんは強い不安を感じることでしょう。肛門からの出血は、見た目が衝撃的でも、比較的軽い原因であることも多いです。

一番よくあるのは、「裂肛(れっこう)」と呼ばれる肛門の切れ目です。うんちが固くて大きかった場合や、便秘気味のときに、排便時に肛門が少し切れて出血することがあります。血は鮮やかな赤色で、便の表面についているのが特徴です。

他にも以下のような原因が考えられます。

  • ミルクアレルギー(特に牛乳アレルギー)

  • 細菌性腸炎などの感染症

  • 腸重積(ちょうじゅうせき)などの消化器系疾患

血の色が黒っぽい(タール便)、血便が繰り返される、発熱やぐったりした様子があるなどの場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります

赤ちゃんの体における出血の考え方

赤ちゃんはとても小さく、血液の量も大人の10分の1以下です。そのため、わずかな出血でも貧血につながるリスクがあり、見た目以上に深刻なケースもあるのが特徴です。

また、赤ちゃんの体は未発達な部分も多く、「出血しやすい・止まりにくい」体質を持っていることもあります。親としては、「少しだから大丈夫」と軽く判断するのではなく、いつ・どこから・どれくらい出たかをしっかり観察し、必要に応じてメモや写真に残しておくと診察時に役立ちます

さらに、出血が何度も続く場合は、血液の病気などのサインである可能性も。少量でも繰り返し起こるようであれば、迷わず小児科医に相談しましょう。

血友病とその症状

血友病の基礎知識と原因

血友病(けつゆうびょう)とは、血液が固まりにくくなる病気で、出血が止まりにくいという特徴を持っています。遺伝性の病気で、多くの場合は男の子に発症します。

体の中には出血を止める「凝固因子(ぎょうこいんし)」という物質がありますが、血友病の人はこの凝固因子のうち一部が不足していたり、まったく作られなかったりするため、血が止まりにくくなるのです。

血友病には「A型」「B型」があり、それぞれ不足している因子が異なります。どちらも症状や治療は似ていますが、診断には専門の血液検査が必要です

小児における血友病の診断と治療

血友病は、生まれてすぐには気づかれにくいこともありますが、乳幼児期に打撲や注射のあとに内出血がなかなか治らない、鼻血が長引くなどの症状で発見されることが多いです。

もし家族に血友病の人がいる場合は、出生後にすぐ検査されることが一般的ですが、遺伝がわからないケースでも、以下のような症状が見られた場合は注意が必要です。

  • ちょっとした打撲で広い範囲が青くなる

  • 歯ぐきの出血が止まらない

  • 関節が腫れて痛がる(関節内出血)

  • 手足のどこかに腫れがあり触ると痛がる

治療は、足りない凝固因子を補う「補充療法」が基本です。最近では家庭でも治療ができるようになっており、早期発見・早期対応によって重症化を防ぐことが可能です。

医師に相談が必要な症状とは

以下のような症状が見られる場合は、早めに医師に相談し、血液の異常がないか確認することが重要です。

  • 傷口の出血が15分以上止まらない

  • 繰り返す鼻血や歯ぐきの出血

  • 小さな打撲なのに大きな内出血になる

  • 関節の腫れ・痛み・熱感がある

  • 家族に血友病の人がいる

こうした症状は、「体質」や「たまたま」ではなく、血液の病気のサインである可能性があるため、放置せず医師に相談することが大切です

子どもの出血に関する病気と検査

出血を伴う小児疾患の種類

子どもの出血が気になるとき、「もしかして病気?」と心配になることがあります。実際に、出血を伴う小児疾患はいくつか知られています。代表的なものには以下のような病気があります。

  • 白血病:血液のがんの一種で、骨髄で作られる血液細胞が異常に増える病気。あざができやすい、歯ぐきや鼻から出血する、風邪が治りにくいなどの症状が見られます。

  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP):血を止める役割を持つ血小板の数が少なくなり、出血しやすくなる病気です。転んでいないのに大きなあざができたり、点状の赤い斑点(紫斑)が見られることがあります。

  • ビタミンK欠乏症:ビタミンKは血液の凝固に関わる栄養素で、これが不足すると出血が止まりにくくなります。特に新生児や乳児に多く見られ、便に血が混じる、鼻血が出るなどの症状を引き起こします。

これらの病気はまれですが、「打撲もないのに出血がある」「傷が治りにくい」といった異常に早く気づくことが、命を守る大きなカギになります。

検査の重要性と必要性

気になる症状がある場合、早めに血液検査を受けることが非常に重要です。たとえば、あざができやすい、出血が長引く、以前より元気がない、体重が減ってきたなどの変化が見られたら、一度小児科や内科で相談しましょう。

血液検査では、赤血球・白血球・血小板の数値や、凝固因子、ビタミンKの値などを確認します。症状が軽くても、検査結果から深刻な病気が早期に見つかることもあるため、気になることがあれば受診をためらわないことが大切です。

また、親御さんが「気のせいかも」と思う小さな変化こそ、医師にとっては重要な手がかりになることがあります。日々の観察と記録が診断に役立つことも少なくありません。

自宅でできる観察と注意点

病気を早期に見つけるには、日ごろの観察が何よりも大切です。以下のような点を意識して、お子さんの様子をチェックしてみましょう。

  • 小さなあざが増えていないか(とくに腕や脚)

  • 出血しやすくなっていないか(歯ぐき・鼻血など)

  • 元気や食欲に変化はないか

  • 熱や倦怠感が続いていないか

また、転倒や打撲の記憶がないのに内出血が見られるときは、要注意サインです。スマホで記録写真を残したり、日時・状況をメモに残しておくと、診察時に役立ちます。

出血の予防と日常生活での注意点

けがを防ぐための工夫

子どもは動きが活発なので、けがを完全に防ぐことは難しいですが、家庭内でのちょっとした工夫で出血を防げる場面も多くあります。

  • 家具の角にクッションガードをつける

  • フローリングには滑り止めマットを敷く

  • 室内用のやわらかいスリッパや滑りにくい靴下を使う

  • 階段や段差に注意を促すステッカーや柵を設置する

こうした小さな工夫が、転倒やぶつかりによるけがのリスクをぐっと減らしてくれます。特に歩きはじめの子や兄弟で遊ぶことが多い家庭では、環境づくりがとても重要です。

生活環境の見直し

安全対策は、子ども目線で環境を見直すことがポイントです。大人にとって何でもない場所でも、子どもにとっては危険が潜んでいることがあります。

  • 延長コードや配線が足元に出ていないか

  • ベッドやソファの上から落ちやすい構造になっていないか

  • 洗面所や玄関の床が濡れていないか

  • 暗い場所に夜間照明があるかどうか

一度「わが家の安全点検日」を設けて見直してみるのもおすすめです。子どもと一緒に「危ない場所探しごっこ」などをしても、楽しく防災意識が育てられます。

親が知っておくべき健康管理のポイント

子どもの健康管理で大切なのは、「いつもと違うな」と感じた小さな変化を見逃さないことです。出血やあざが目立つようになった、口内炎が治りにくい、機嫌が悪いなど、ちょっとした変化にも注目しておきましょう。

また、以下のような知識を親が持っておくと、いざというときに迷わず行動できます。

  • 出血したときの正しい応急処置

  • よくある出血原因(鼻血・すり傷・裂肛など)の対処法

  • 血液の病気の初期サイン

  • 小児科・耳鼻科・皮膚科など受診すべき科の判断

普段から健康手帳に記録をつけたり、定期的に写真で様子を記録しておくと、医師への相談もしやすくなります。「備え」が「安心」につながる――それが子育てにおける健康管理の基本です。

まとめ|子どもの「なぜ?」にやさしく答えてあげましょう

子どもがけがをしたとき、血が出る理由を知っておくことで、親も落ち着いて対応できるようになります。血液の役割や出血の仕組みを理解すれば、「怖い」ではなく「体の大切な反応」と伝えられるはずです。さらに、鼻血や赤ちゃんの出血、病気の可能性なども知っておくことで、万が一のときにも安心です。

子どもの疑問に寄り添いながら、正しい知識を伝えることは、親子の信頼関係にもつながります。ぜひ今日から実践してみてください。

子どもへのやさしい説明例まとめ

  • 「血は体のお仕事をしてるお水なんだよ」

  • 「けがをしたら、血がちょっと外に出て、体が『早く治そう!』ってがんばってるサインだよ」

  • 「こわくないよ、ちゃんと体が自分で治してるんだよ」

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