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ごめんなさいの意味を子どもに教える!心から謝る力を育む方法

ことば

「ごめんなさいを言いなさい」と子どもに注意しても、なかなか素直に謝れない…そんな場面に悩んだことはありませんか?実は、「ごめんなさい」の本当の意味を理解していないことが原因かもしれません。

本記事では、子どもが心から謝れるようになるために、年齢に応じた伝え方や日常の中での関わり方をやさしく解説します。「無理に言わせる」のではなく、「気持ちを育てる」方法を、一緒に見つけていきましょう。

『ごめんなさい』の意味とは?

ごめんなさいの基本的な解釈

「ごめんなさい」は、日常でよく使われる謝罪の言葉ですが、その本当の意味を深く考えたことがある人は意外と少ないかもしれません。この言葉は、単に「悪いことをしたから言う」ものではなく、「自分の行動が相手に不快な影響を与えてしまった」ことを認め、「そのことを申し訳なく思い、許しを願う」ための言葉です。

語源をたどると、「ご免ください」という丁寧な言い回しに由来し、「許してください」「お許しを乞います」という意味が含まれています。つまり、「ごめんなさい」は相手との関係を大切にしたいという気持ちの表れであり、ただの形式的な言葉ではなく人と人との信頼をつなぐための大切なコミュニケーションでもあります。

子どもにとっては、この背景をすぐに理解するのは難しいですが、大人の関わり方次第で、少しずつその本質に気づいていけるのです。

謝罪の心理と子どもへの影響

「謝る」という行為は、大人にとっても簡単なことではありません。それは、自分の非を認める勇気や、相手との関係を修復したいという意思が伴う心の動きだからです。

一方で、子どもはまだそのような複雑な感情を理解しきれないことが多く、謝ることが単なる「言わされるもの」や「怒られないための呪文」のように感じてしまうこともあります。

特に「すぐ謝りなさい!」と強い口調で言われると、子どもは“悪いことをした”という事実よりも、「怒られるのが怖い」「とにかく言えば終わる」という恐怖や逃避の感情で動いてしまいます。

このようにして謝ることが「強要されるもの」「屈辱的なもの」として刷り込まれてしまうと、将来的に心から謝る力を育むことが難しくなります。

そのため、大人は「なぜ謝るのか」「どうしてその言葉が必要なのか」を、感情を押しつけずに、子ども自身の心の動きと結びつけて伝えていくことが大切です。

ごめん寝と赤ちゃんの関係性

「ごめん寝」とは、赤ちゃんやペットがうつ伏せになって顔を隠すような寝姿を表す言葉です。まるで謝っているかのように見えることからついた愛称ですが、これは実際には謝罪とは無関係の行動です。

この姿勢には、「顔を隠すことで安心する」「刺激を遮って落ち着く」といった本能的な自己防衛の要素があるとされています。赤ちゃんにとって、外界の刺激は時に強すぎるものであり、顔をうずめることで心を落ち着けるという行動をとっているのです。

子どもが怒られたときに顔を隠したり、布団にもぐったりする行動も、この「ごめん寝」と似た意味を持ちます。そうした行動の裏には、「自分なりに気持ちを整理しようとしている」サインが隠れている場合もあります。

つまり、子どもが何も言わずにうつむいたり背を向けたりしたときも、無関心や反抗ではなく、“心の防御”や“安心を求める行動”であることが多いと理解することで、大人も余計な怒りを抑え、やさしく寄り添うことができます。

2歳児が理解する『ごめんなさい』

2歳頃は、ちょうど「イヤイヤ期」と呼ばれる自我の芽生えの時期。自分の意志を持ち始め、「やりたい」「やりたくない」が強く出てくる反面、相手の気持ちを理解する“共感力”はまだ育ち始めたばかりです。

そのため、「ごめんなさい」と言うことはできても、その意味を理解して言っているとは限りません。むしろ、「言えばその場が終わる」「言わないと怒られる」という学習だけが先に育ってしまう危険もあります。

この時期の子どもには、「〇〇ちゃんが悲しかったって言ってたよ」「ぶつかって痛かったかもね」と、相手の気持ちを言葉で代弁しながら伝えることがとても大切です。

また、絵本やアニメなどで「謝る」というシーンを一緒に見ることで、日常生活と結びついた“謝る場面の意味”を視覚的に理解しやすくなる効果もあります。

うちでは、2歳半の息子が「ごめんなさい」を言えずに黙ってしまうことがよくありました。でも、絵本で「謝る場面」を一緒に読むようにしてから、少しずつ言葉にできるように。焦らず待つって大事ですね。

謝らない子どもの心理的要因

子どもが「ごめんなさい」を言えない理由には、さまざまな感情が関係しています。

  • 「自分は悪くないと思っている」

  • 「謝ったら負けだと思っている」

  • 「恥ずかしい」

  • 「怒られるのが怖い」

  • 「自分の気持ちが整理できていない」

これらはすべて自然な感情です。とくに幼児〜小学校低学年の時期は、自分と他人の気持ちを分けて考える力や、行動を振り返る力がまだ育ちきっていないため、謝罪がスムーズにできないのは当たり前とも言えます。

そこで必要なのは、「なぜ言えないのか」に寄り添い、その原因を理解してあげること。「ごめんなさい」と口にさせることよりも、謝りたいと思える気持ちを育てることの方がずっと大切なのです。

子どもが『ごめんなさい』を言わない理由

強要とその影響

大人がつい口にしてしまいがちな「早く謝りなさい!」という言葉。しかしこの“謝罪の強要”が続くと、子どもにとって謝ることは「自分が悪いと認めさせられる屈辱の儀式」のように感じられるようになります。

また、親の前で言う「ごめんなさい」は、相手ではなく“親の怒りを収めるための手段”になってしまうこともあります。これでは、謝罪が持つ本来の意味=「相手に対する思いやりや関係修復の気持ち」とは、かけ離れてしまいます。

子どもの行動には理由があります。まずは頭ごなしに謝らせるのではなく、「なぜその行動をしたのか」「どんな気持ちだったのか」を聞く姿勢が、心ある謝罪を育てる土台になります。

イライラの解消法

「なぜ謝らないの?」と感じる場面で、保護者や保育士がイライラするのはごく自然な反応です。子どもがトラブルを起こし、それを認めず謝らないとき、つい感情的になってしまうことはよくあります。

ですが、大人が怒りに任せて言葉をぶつけてしまうと、子どもは「謝れない自分が悪い」と感じて心を閉ざし、さらに謝ることが難しくなってしまいます。

そんなときこそ、一度深呼吸を。感情的な瞬間ほど、立ち止まって「なぜ言わないのか」を考える姿勢が必要です。「気持ちが整理できていないのかも」「今は恥ずかしいのかも」と、原因に目を向ければ、より良い声かけが見つかります。

子どもたちの行動と感情のズレ

大人が「これは悪いことだ」と感じている場面でも、子ども自身には悪意がなかったり、意図が違っていたというケースは少なくありません。

たとえば、友だちを押した子が、「通れなかったから動かしてあげた」と思っていたり、「急いでただけ」と主張する場合、行動自体は良くなかったとしても、本人には“謝るべき”という認識がないのです。

このように、行動と気持ちのズレがある場合は、まずその子の考えを丁寧に聞き、「相手はどう感じたかな?」と、他者の視点に目を向ける言葉がけが大切です。

謝罪することが苦手な理由

性格的な特徴や経験によって、謝ることに強い抵抗感を持つ子どももいます。

  • 負けず嫌いで、謝ること=負けだと思ってしまう

  • 自分の感情を外に出すのが苦手で、謝る場面に緊張する

  • 過去に謝ったことで余計に怒られた経験がある

こうした子どもには、「謝らないとダメ」という強い言葉は逆効果です。むしろ、「あとで言ってもいいよ」「伝え方はいろいろあるよ」と、謝る手段やタイミングに選択肢を持たせる工夫が必要です。

謝らせないと気が済まないママの影響

子どもが悪いことをしたら、きちんと謝らせなければ…という思いは、多くの保護者が持っています。それ自体は当然の気持ちですが、「その場で言わせなければ」「謝らせないと親として見られない」といった“親の体面”や“周囲の目”を気にするあまり、謝罪を急かしてしまう”ケースもあります。

謝るという行為は、本来、子ども自身の気持ちから自然に出るものであるべきです。大人の顔色や評価のために謝らせてしまうと、子どもの心にモヤモヤだけが残り、自己肯定感を損なう原因にもなりかねません。

以前の私は「謝らせないといけない」と思い込み、子どもに厳しく言ってしまっていました。知人に「気持ちが整うのを待ってあげて」と言われてから、対応を変えたら関係がぐっと良くなりました。

『ごめんなさい』を学ぶための教育法

コミュニケーションの重要性

謝罪の力を育てるためには、「言いなさい」と命じるのではなく、子どもの内面に働きかける対話が必要です。

たとえば、「どうしてそうしたのかな?」と聞くことで、子どもは自分の行動を振り返るきっかけを得られます。「相手はどんな気持ちだったかな?」と問いかければ、他人の感情に思いを馳せる経験につながります。

こうしたコミュニケーションを日常的に積み重ねることで、子どもは徐々に「謝る」という行為を単なるルールではなく、相手を思いやる手段として受け止められるようになります。

また、謝罪の練習は“出来事の直後”に限らず、落ち着いた時間に丁寧に振り返ることも効果的です。「さっきのこと、どう思った?」と問いかけることで、感情と言葉をつなげる力も育ちます。

子育てにおけるママ・パパの役割

子どもに謝る力を身につけさせたいなら、まず大人自身が謝る姿勢を見せることがとても重要です。

たとえば、

  • 「さっきは怒りすぎてごめんね」

  • 「ママが間違ってたよ。教えてくれてありがとう」

といった言葉を、親が自然に使うことで、子どもは「謝ることは素直で前向きな行動なんだ」と感じ取ります。

また、兄弟ゲンカなどの場面で、子ども同士の言い合いを止めるだけでなく、「どっちが悪かったのか」ではなく「どうすればよかったか」を一緒に考えるスタンスを取ることが、謝罪の質を高めます。

子どもは、叱られた経験よりも、大人のふるまいから多くを学びます。謝る姿、感謝する姿、許す姿——すべてが子どもにとって、かけがえのない教材です。

保育士による具体的な指導法

保育の現場では、年齢や性格に応じた多様なアプローチが求められます。以下に、実際に効果のある具体策をまとめました。

● 絵本を使って謝罪を学ぶ

「謝る・許す・仲直りする」をテーマにした絵本は、子どもにとってとても良い学びの入り口です。絵本を読みながら「どんな気持ちだったかな?」「もし自分だったらどう思う?」と声をかけると、感情移入力が高まり、謝罪の必要性に気づくきっかけになります。

● 人形劇・ロールプレイ

人形やぬいぐるみを使ったごっこ遊びで「トラブル→謝る→許す」の流れを体験させると、謝罪のプロセスを安全な環境で疑似体験できます。たとえば「ぶつかってしまった」「おもちゃを取ってしまった」など、保育園でありがちな場面を演じると効果的です。

● 謝られたときの返し方を教える

「ごめんね」と言った子どもに対して、相手が「いいよ」「教えてくれてありがとう」と返す文化をつくることも大切です。謝ることが関係の修復につながる経験を積むことで、謝罪に対する前向きな意識が育ちます。

遊びを通じて学ぶ謝罪の意味

遊びは、子どもにとって最も自然な学びの場です。ごっこ遊びやロールプレイは、謝罪に必要な感情や言葉の練習を楽しみながらできる手段です。

たとえば、以下のような場面を演出することが効果的です。

  • 「お店でお客さんにぶつかっちゃった」

  • 「友だちのおもちゃを取ってしまった」

  • 「お友だちを泣かせちゃった」

こうしたやり取りを演じることで、「どうすれば相手の気持ちが和らぐか」を考えたり、「謝ったら関係がよくなった」という成功体験を味わうことができます。

保育士が知っておくべき注意点

子どもたちの発達段階と理解力

謝るという行動には、「自分の行動が他人に影響したことに気づく力」「それを振り返る力」「気持ちを言葉で表す力」が求められます。これらはどれも、年齢とともに少しずつ育つ力です。

1~2歳ではまだ意味の理解は難しく、「真似て言うだけ」になります。3歳を過ぎると、「相手が悲しかったかもしれない」「これをしたらダメだったかも」と少しずつ他人の感情を意識できるようになります。

大切なのは、子どもの理解に合った関わり方をすること。たとえば、意味がわかっていないのに「言いなさい」と繰り返せば、謝罪に対する拒否反応や混乱が生まれやすくなります。

子どもの発達段階を理解しながら、その子に合った伝え方・待ち方を選ぶことが、謝る力を育てる土台になります。

大人の言葉をどう使うか

「謝りなさい」は、大人にとって便利な言葉ですが、子どもの心に届くとは限りません。特に気持ちが混乱している最中にこの言葉を使うと、子どもは「命令されたから言わなきゃいけない」と受け止めてしまいがちです。

その代わりに、

  • 「どんな気持ちだったのかな?」

  • 「〇〇くん、悲しかったって言ってたよ。どう思う?」

  • 「あなたなら、どう声をかけてほしい?」

など、気持ちに焦点を当てた問いかけをしてあげましょう。こうした声かけは、子どもが自分の行動と感情、そして他人の感情を結びつけるきっかけとなります。

苦手意識の克服法

謝ることが苦手な子どもは少なくありません。「謝ったら負けだと思う」「恥ずかしくて言えない」「気持ちの整理がつかない」など、心の中にさまざまな抵抗がある場合が多いのです。

そうしたときに「謝りなさい」と迫ると、さらにハードルが上がってしまいます。代わりに、

  • 「あとででもいいよ」

  • 「今は気持ちがまとまらないよね。落ち着いたら一緒に考えようか」

  • 「言葉じゃなくても、何かできることあるかな?」

と、“今じゃなくてもいい”“別の方法でもいい”という柔軟な声かけが効果的です。

また、非言語的な伝え方(おもちゃを返す、笑顔を見せる、絵を描くなど)も有効です。「謝る=言葉」という固定観念をほぐし、子ども自身のペースで気持ちを伝えられるよう支えてあげることが、謝罪への抵抗感をやわらげる第一歩になります。

ママと子どもでできる日常の実践法

保育園や幼稚園だけでなく、家庭でも日常的に「謝る」「許す」「仲直りする」体験を小さく積み重ねることが、謝罪の力を育てるうえでとても大切です。

▪ 親が「ごめんね」と素直に謝る

「さっきはイライラして怒っちゃってごめんね」と、自分のミスを素直に認める姿勢を見せることが、謝ることの価値を教える最短ルートです。

▪ トラブルを一緒に振り返る

兄弟ゲンカや友だちとの衝突のあとに、「あのときどう感じた?」「どうすればよかったと思う?」と一緒に考える時間をつくりましょう。これにより、反省が内面化しやすくなります

▪ 言葉にしづらいときは絵や日記で表現

「謝るのが恥ずかしい」という気持ちは、成長過程で誰にでもあります。そんなときは、「絵に描いて伝える」「手紙を書く」など、非言語で気持ちを表現する手段を提案してみてください。

まとめ|ごめんなさいの意味を一緒に育てていきましょう

「ごめんなさい」は単なる言葉ではなく、相手への思いやりや関係を築く大切な一歩です。子どもがその意味を自然と理解し、自分の気持ちを込めて謝れるようになるには、大人の関わり方がとても重要です。

無理に言わせるのではなく、気持ちに寄り添いながら対話を重ねていくことで、謝る力は少しずつ育っていきます。今日から、日常のやりとりの中で「気持ちが伝わる謝り方」を一緒に意識してみましょう。

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