「ねえ、サンタさんってなんでクリスマスに来るの?」
そんな息子の一言にドキッとした私。
毎年なんとなく楽しんでいたけれど、よく考えたら“クリスマスって何の日?”って聞かれると、うまく説明できなくて…。
子どもに伝えるなら、難しい言葉や宗教の話じゃなくて、わかりやすく、やさしく、そして「なるほど!」と思える内容にしたい。
この記事では、クリスマスの由来や歴史を、子どもと一緒に楽しめる視点でお話ししていきます。家庭でのちょっとしたエピソードや工夫も交えながら、知るともっとワクワクする「クリスマスのはじまり」を一緒にたどってみませんか?
クリスマスってそもそも何の日?
イエス・キリストの誕生を祝う日
クリスマスは、イエス・キリストの誕生日をお祝いする日。
でも実は、イエスが本当に12月25日に生まれたという確かな証拠はないんです。
私も子どもに「どうして12月25日なの?」と聞かれて、あれ…?ってなったことがありました(笑)。
調べてみてわかったのは、12月25日はもともとローマ帝国で「冬至」を祝うお祭りの日だったということ。
「冬至」は1年でもっとも日が短い日で、そこから少しずつ日が長くなっていきます。つまり、太陽の力が戻ってくる“希望の始まり”を意味する日だったんですね。
そのお祭りにキリストの誕生を重ねることで、「光の到来=キリストの誕生」という象徴的な意味を持たせたのではないかといわれています。
“闇のあとには光がやってくる”というメッセージが込められた日でもあるんですね。
うちでは、「クリスマスは誰かを想ってやさしくなれる日なんだよ」と子どもに話しています。
プレゼントをあげるのも、ケーキを囲むのも、「ありがとう」「だいすき」がいっぱいつまった1日。そう考えると、ただのイベントじゃなくて、家族にとってもあたたかい意味のある日になる気がします。
キリスト教だけのお祝いなの?
もともとクリスマスは、キリスト教の中でも大切な「祝祭」のひとつでした。
でも今では、宗教に関係なく、世界中で“文化としてのイベント”として広がっているのが特徴です。
たとえば、日本では多くの家庭がツリーを飾ったり、ケーキを食べたりしてクリスマスを楽しみますが、実際にキリスト教徒の割合はごくわずか。
それでも「家族で過ごす日」「子どもが楽しみにしている日」として、ちゃんと根付いていますよね。
私のまわりでも、「教会に行ったことはないけど、家族でプレゼント交換をするのが楽しみ」というおうちが多いです。
宗教にとらわれず、思いやりや感謝を伝える日として親しまれているのが、今のクリスマスの魅力かもしれません。
そして何より、子どもたちのキラキラした目を見ると、「大人も楽しんでいいんだよね」と思えるのが不思議です。
どこか“やさしい気持ちになれる日”として、これからも毎年、大切にしていきたい行事のひとつです。
サンタクロースの由来って?
サンタのモデルは「聖ニコラウス」
「サンタさんって、本当にいたの?」
ある年のクリスマス前、息子にそう聞かれて、私は思わず笑ってしまいました。でも同時に、「これ、ちゃんと伝えてあげたいな」と思ったんです。
サンタクロースのモデルになったのは、3世紀ごろにトルコの司教だった“聖ニコラウス”という実在の人物。
裕福な家庭に生まれた彼は、自分の財産を使って貧しい人や子どもたちを助けたことで知られていました。
中でも有名なのが、「夜中に貧しい家の窓から金貨を投げ入れた」というお話。靴下に入ったという説もあって、今の“プレゼントを靴下に入れる”習慣のルーツとされています。
この話を息子にすると、「サンタって“やさしい人”のことなんだね」としみじみ。
“サンタは魔法の存在”じゃなくて、“思いやりの象徴”なんだよと伝えると、目を輝かせて聞いてくれていました。
どうやって今の姿になったの?
でも、昔の聖ニコラウスは、今の“赤い服でぽっちゃりした陽気なおじいさん”とは全然違う見た目だったんです。
ヨーロッパでは長い間、司教の姿(帽子と長いマント)で描かれていて、赤い服ではありませんでした。
それが変わっていったのは、アメリカでサンタクロースの物語が広まってから。
そして決定的だったのが、1931年のコカ・コーラの広告。
そこでは、赤い服に白いひげ、ふくよかで笑顔が優しいおじいさんサンタが描かれていて、それが世界中に定着していきました。
つまり、サンタさんの見た目は“企業イメージ”によって広がった部分もあるんですね。
でも私は、こうも思います。姿は変わっても、「子どもを笑顔にしたい」「誰かを喜ばせたい」という“やさしい心”はずっと変わらず生き続けているって。
息子が寝たあと、こっそりプレゼントを用意しながら、「これってきっと、現代の“聖ニコラウス”のまねごとだなぁ」と毎年しみじみしてしまいます。
クリスマスツリーやリースの意味は?
ツリーは“命の象徴”
クリスマスが近づくと、街にもおうちにもツリーが登場しますよね。
でも、どうして“もみの木”を飾るのか、考えたことはありますか?
もみの木は冬でも葉が落ちずに緑を保つ常緑樹。
その姿から、昔の人たちは「命の強さ」や「永遠の命」を象徴する木として大切にしてきたそうです。
飾りつけにも意味があって、星のオーナメントはイエス・キリストの誕生を知らせた“ベツレヘムの星”を表しています。
ボールの飾りは“世界”や“実り”、ライトは“希望の光”や“天使の導き”など、実はひとつひとつにストーリーがあるんですよね。
ある年、うちの子が「てっぺんの星ってなに?」と聞いてきたことがあって、私はちょっとドキッとしました。
それまでは“キレイだから”という理由だけで飾っていたけれど、意味を知ることで、ツリーがもっと特別な存在に変わった気がします。
いまでは飾りをつけるたびに、「これは何の意味があるんだっけ?」と親子で話しながら楽しむのが、わが家の定番になりました。
リースは“永遠”の形
クリスマスの玄関といえば、リースですよね。
あの丸い輪っかの形にも、ちゃんと意味があります。
始まりも終わりもない“円”は、永遠の愛や命を表すシンボルとされていて、「ずっと続いていきますように」という願いが込められているんです。
また、緑の葉は“生命”、赤い実は“キリストの血”、金や銀は“希望や富”を表すという説もあるそうですよ。
リースをドアにかけるのは、「幸せが家の中に入ってきますように」「災いが入ってこないように」というおまじないのような意味もあるのだとか。
最近は、わが家でもリースを手作りするようになりました。
リースの土台を買ってきて、子どもと一緒にどんぐりや木の実を拾ってきて飾ったり、毛糸を巻いたり…。
「ママ、この実はどこにつける?」なんて相談しながら作る時間が、すごく楽しくて。
出来上がったリースを見るたびに、その年の思い出がギュッと詰まっている気がします。
飾るだけじゃなく、作るところから一緒に楽しむことで、より深く意味が感じられるようになりました。
日本のクリスマスって、どう始まったの?
最初に祝われたのはいつ?
日本で初めてクリスマスが祝われたのは、1552年、山口県にある教会で行われたミサだと言われています。
当時はキリスト教の宣教師たちが来日し、布教活動の一環として、イエス・キリストの誕生日を祝う宗教儀式を行っていたそうです。
でももちろん、それがすぐに日本全体に広まったわけではありません。
その後、江戸時代に入ってキリスト教が禁じられたことで、クリスマスのお祝いも長らく途絶えてしまいました。
再び日本でクリスマスが広がり始めたのは、明治時代になってキリスト教が再び受け入れられるようになってから。
ただ、それでもまだまだ一般の人にとってはなじみの薄い行事だったようです。
私自身、子どものころは「クリスマス=ケーキの日」「サンタさんが来る日」くらいの感覚で、
由来や歴史なんて全然知らずに過ごしていました。
それでも毎年ワクワクしていたのは、“家族で過ごす特別な日”としての雰囲気が自然と根付いていたからかもしれません。
昭和時代にブーム到来!
クリスマスが一気に日本に定着したのは、戦後の高度経済成長期(1950〜60年代)。
街にデパートが増え、テレビCMが盛んになり、イルミネーションやツリー、プレゼントといった“クリスマスらしいアイテム”が一気に広まっていきました。
特に印象的だったのは、ケンタッキーの「クリスマスにはチキンを!」というキャンペーン。
これがヒットして、“日本独自のクリスマス文化”が形づくられていったんですよね。
そして今では、宗教的な背景を意識する人は少なく、「家族で過ごす」「子どもが主役」「年末のイベント」として親しまれるようになっています。
我が家でも、毎年12月になると自然に「今年のケーキどうする?」とか「ツリー出そうか」と話題に上がるようになり、
それがすっかり“季節の行事”の一部になっているなあと実感します。
宗教に関係なく、“感謝や思いやりを伝える日”として受け入れられている日本のクリスマスって、ちょっと不思議で、でもとても素敵だなと思うんです。
子どもと一緒に楽しむ“意味のあるクリスマス”に
贈り物の意味を伝える
「サンタさんって、なんでプレゼントくれるの?」
そんな質問を子どもにされて、私はちょっと考えてから答えました。
「きっとね、“ありがとう”とか“だいすきだよ”っていう気持ちを、形にして届けてくれるんじゃないかな」って。
プレゼントって、ただ物をもらうだけじゃないと思うんです。
大切に思っていること、がんばったことを認めてあげたいという気持ちがこもった“心のギフト”。
だから、わが家ではプレゼントに手紙を添えるのが毎年の定番になっています。
「ことしはピアノがんばったね」「弟にやさしくできてえらかったよ」など、その子のがんばりを言葉にして伝えるようにしていて。
サンタさんからの手紙という設定ですが、子どもはうれしそうに読みながら、「来年もいい子にするね」って笑ってくれるんです。
最近では、子どもが私に「ママにもプレゼント用意したよ」と言って、折り紙で作ったハートをくれるようになりました。
その瞬間、「伝わってるな」と思えて、とてもあたたかい気持ちになります。
伝統をつなぐ楽しさ
クリスマスって、特別なことをしなくてもいいんだと思うんです。
むしろ、「いつも通りの、わが家なりの楽しみ方」が大事なんじゃないかなって。
たとえば、ツリーを飾る日を決めていたり、リースを一緒に作ったり。
毎年同じ絵本を読みながら「ここ、好きな場面だよね」なんて話したり。
“今年も同じことができた”という安心感が、子どもにとっては何よりのプレゼントなのかもしれません。
わが家では、ツリーを飾るときにクリスマスソングを流すのが恒例です。
「この曲流すと、クリスマスって感じがするね〜!」と笑いながら、飾りをどっちがつけるか取り合うのも、毎年同じ(笑)。
きっとこれが、子どもにとっての“思い出”になるんだろうな、と思いながら私はその時間を大切にしています。
そしていつか、「昔、ママとこれ作ったよね」「この曲、よく流れてたよね」と思い出してくれる日が来たら…
その時こそ、わが家の“クリスマスの伝統”がちゃんと受け継がれた瞬間かもしれません。
まとめ|“知ることで深まる”クリスマスの楽しみ方
クリスマスの歴史や由来って、知ってみると意外と奥深くて、「楽しむ理由」が見えてくるように感じませんか?
ただケーキを食べてプレゼントをもらうだけの日じゃなくて、「誰かを思う気持ち」や「家族のつながり」を大切にする日。そんな風に伝えることで、子どもにとっても“意味のある思い出”になっていくはずです。
ぜひ今年のクリスマスは、ちょっとだけ由来に触れてみるところから始めてみませんか?