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魚はどうやって水の中で息をしているの?

科学

「魚はどうやって水の中で息をしてるの?」と子どもに聞かれて、答えに困ったことはありませんか?身近なのに意外と知らない魚の呼吸のしくみ。実は、魚には“えら”という特別な器官があり、水の中でもちゃんと呼吸できる秘密があるんです。

本記事では、魚の呼吸のしくみやえらの働きを、子どもにもわかりやすく図や例を使って解説します。親子で楽しく学べる内容になっているので、自由研究や理科の予習にもおすすめです!

魚の呼吸の仕組みとは?

魚がエラで行う呼吸の基本

魚は私たちのように肺で呼吸するのではなく、「エラ」という器官を使って水の中の酸素を取り入れます。魚はまず口を開いて水を体の中に取り込みます。その水は口の奥を通り、エラへと流れていきます。このとき、水の中に含まれている酸素が、エラの薄い膜を通じて魚の血液に取り込まれるのです。

エラの中には毛細血管がたくさん集まっていて、効率よく酸素を取り込めるしくみになっています。魚はこのエラ呼吸によって、水の中でも生きていけるのです。

肺呼吸とエラ呼吸の違いを理解しよう

私たち人間は肺を使って空気中の酸素を取り入れています。肺は風船のようにふくらんだりしぼんだりして、空気を出し入れします。これを「肺呼吸」といいます。

一方、魚のエラ呼吸は空気ではなく「水」に含まれた酸素を取り出す方法です。魚の体はふくらんだりしません。口から入った水はエラの中を通り、酸素だけが血液に取り込まれ、使い終わった水はエラぶたのすき間から外に流れ出ていきます。

このように、肺呼吸は空気中の酸素を、エラ呼吸は水中の酸素を使うという、大きな違いがあります。

魚のエラはどこにあるの?

魚のエラは、頭の横の「ほっぺた」のあたりにあります。外から見ると、エラぶた(オペルクル)という、やわらかく動くふたのような部分が見えます。この中に、実際のエラが左右に1対ずつ、合計4つほど入っています。

魚が呼吸するとき、このエラぶたがパクパクと動いているのが観察できます。この動きで、口から入れた水をエラに流し、酸素を取り込む仕組みを助けています。金魚やメダカなどをよく観察すると、この動きがよくわかります。

エラを使った呼吸のメリットとデメリット

エラ呼吸の一番のメリットは、水の中でも呼吸ができることです。もし魚が肺呼吸しかできなかったら、私たちと同じように水に潜るたびに酸素を吸いに水面に戻らなければなりません。エラ呼吸があるおかげで、魚は深い海の中でも自由に生活できます。

一方で、デメリットもあります。それは、水に溶けている酸素の量がとても少ないこと。空気中の酸素に比べると、水中の酸素は約1/30ともいわれています。そのため、魚は大量の水を絶えず口から取り入れ、効率よく酸素を取り出さなければなりません。泳ぎ続けることで水を流し続ける魚もいるほどです。

魚のエラとその構造

魚のエラの役割と構造

魚のエラは、呼吸に欠かせないとても大切な器官です。エラの中には、とても細かい血管(毛細血管)がたくさん集まっていて、水の中の酸素を効率よく血液に取り込む役割を果たしています。

魚は口から水を吸い込み、その水をエラに通します。そのとき、水に含まれている酸素がエラの薄い膜を通して毛細血管に入り、魚の体内へと運ばれていきます。

さらに、魚の体の中で使い終わった二酸化炭素も、逆にエラから水の中へと出されるのです。この「酸素を取り入れて、二酸化炭素を出す」という働きが、エラの基本的なしくみです。

鰓弓の働きについて

エラをじっくり見ると、「鰓弓(さいきゅう)」と呼ばれる骨のようなパーツが存在します。鰓弓は、エラをしっかり支えるための骨格で、エラの薄くてやわらかい構造が形を保てるようになっています。

この鰓弓があることで、水の流れをスムーズにコントロールでき、呼吸の効率が高まります。つまり、エラを機能的に働かせるための「柱」のような役割をしているのです。

様々な魚のエラの形状を比べよう

魚の種類によって、エラの大きさや形はさまざまです。たとえば、マグロやカツオのように泳ぎ続ける魚は、大きなエラを持ち、常にたくさんの水を通すことで酸素を取り込んでいます

一方で、あまり動かずにじっとしている魚(ハゼやアンコウなど)は、小さめのエラでも十分に酸素を取り込めるように進化しています

魚の生活スタイルに合わせて、エラの形やしくみも最適化されているのです。水族館などでいろんな魚を見て、比べてみると面白い発見がありますよ。

水中での酸素の取り込み

どうやって水から酸素を取り出すのか?

水の中にある酸素は、目には見えませんがしっかりと溶け込んでいます。魚はこの酸素を、エラの表面にある「呼吸膜」という薄い部分を通して取り入れます。

口から入った水がエラの中を流れるときに、酸素はエラの膜を通り抜けて血液へ入り、同時に体の中の二酸化炭素は水の中へと出されていきます

この仕組みは「ガス交換」と呼ばれ、私たちの肺でも同じことが行われています。ただし、魚は空気ではなく「水」を使ってこのガス交換をしているという点が大きな違いです。

プランクトンと酸素の関係性

実は、水の中に酸素があるのは「植物プランクトン」が光合成をしてくれているからです。植物プランクトンは、水の中にある二酸化炭素と太陽の光を使って、酸素を作り出しています。

この酸素が水中に溶け込み、魚たちが呼吸に使っているのです。つまり、魚が生きていくためには、植物プランクトンの存在がとても重要なのです。

魚だけでなく、水の中のさまざまな生き物が、プランクトンによって作られる酸素に支えられているといえます。

魚の体内での酸素の運搬方法

エラから取り込まれた酸素は、すぐに魚の血液に入り、赤血球の「ヘモグロビン」という成分にくっついて全身に運ばれていきます。

この仕組みは、私たち人間とほとんど同じです。酸素は血液にのって体のすみずみに届き、そこで使われ、使い終わったら二酸化炭素としてエラから外に出されます。

魚の体の中でも、人間と同じように、「酸素の運搬システム」がきちんと働いているのですね。

エラ呼吸を行う生き物たち

魚以外のエラ呼吸する生き物

エラ呼吸をするのは、魚だけではありません。たとえば、カエルの子どもである「オタマジャクシ」はエラを使って呼吸しています。成長して大人のカエルになると肺呼吸に変わりますが、オタマジャクシのときは水の中でエラ呼吸をしているのです。

また、イカやタコ、カニやエビといった海の生き物たちも、エラを使って呼吸をしています。イカのエラは体の中にあり、カニは甲羅の中にエラを持っています。種類によってエラの位置や形はさまざまですが、どの生き物も水に溶けた酸素を取り込んで生きているのです。

つまり、水の中で暮らす多くの生き物にとって、エラ呼吸はとても重要なしくみなのです。

陸上動物の呼吸方法との違い

私たち人間や犬、猫などの陸上の動物は、「肺」を使って空気中の酸素を体に取り入れています。鼻や口から吸い込んだ空気が気管を通って肺に入り、そこで酸素が血液に取り込まれるしくみです。

一方、水の中では空気を取り入れることができないため、魚や水生生物はエラという器官を使って、水に溶けた酸素を取り込んでいるのです。

さらに、肺呼吸では肺がふくらんだりしぼんだりしますが、エラ呼吸では水の流れを利用して酸素を取り込むため、動きのしくみも異なります。住んでいる環境に合わせて、体のつくりも進化してきたということがよくわかりますね。

呼吸における二酸化炭素の影響

魚の呼吸と二酸化炭素の関係

魚は呼吸のときに酸素を取り入れるだけでなく、体の中で使い終わった二酸化炭素を水の中へと出す働きもしています。これは私たちの体が空気中に二酸化炭素を吐き出すのと同じようなしくみです。

魚のエラは、「酸素を取り込む場所」であると同時に、「二酸化炭素を放出する出口」でもあるのです。呼吸は、酸素と二酸化炭素の入れ替えがスムーズに行われることで成り立っています。

水中での二酸化炭素の役割

水の中に放出された二酸化炭素には、いくつかの重要な役割があります。まずひとつは、水の性質(pH)を変える作用があるということです。二酸化炭素が多くなると、水は少し酸性になります。このことは、海の生き物の成長や生活に影響を与えることがあります。

もうひとつ大切なのは、水中の植物プランクトンが二酸化炭素を使って光合成をしているという点です。光合成によって、プランクトンは酸素を作り出し、魚や他の生き物が呼吸できるようになります。

つまり、魚が出した二酸化炭素も、水中の生命サイクルの中では必要なものなのです。自然界の中では、すべての生き物の呼吸がつながっていることがわかります。

子どもでもわかる魚の呼吸

簡単な実験で学ぶ魚のエラの働き

魚の呼吸は、実際に観察することでとてもよく理解できます。たとえば、水槽で金魚やメダカを観察してみましょう。魚が口をパクパクと動かすたびに、そのすぐ後ろにある「エラぶた」が開いたり閉じたりしているのがわかるはずです。

この動きこそが魚の「呼吸」のサインです。口から水を取り込み、エラを通して酸素を吸収し、その水をエラぶたのすき間から外に出しています。つまり、魚は常に水を体の中に流して酸素を取り込んでいるのです。

【プチ実験:ストローを使って呼吸を体験しよう】

★用意するもの:コップ、水、ストロー1本

  1. コップに水を入れます

  2. ストローを水に入れて、口で「ふーっ」と息を吹き込みます

  3. 水の中に泡が出てくる様子を観察してみましょう

このとき、泡の中には二酸化炭素が含まれています。魚が水の中で息をするときも、同じように体の中の二酸化炭素を水に出しているというイメージがつかめます。

「魚になったつもり」でやってみると、楽しく学べますよ。

魚の呼吸を絵で表してみよう

魚の呼吸は目では見えにくいものですが、絵に描いてみるとそのしくみがグッとわかりやすくなります。

<描いてみよう>

  • 魚の口から水が入る様子

  • エラに水が流れていく様子

  • エラで酸素が血液に入るところ

  • 水がエラぶたのすき間から出ていく様子

矢印を使って「水の流れ」や「酸素と二酸化炭素の入れ替え」を描くと、まるで理科の図解のように理解が深まります。自由研究や授業のまとめにもぴったりです。

お子さんと一緒に「呼吸マップ」を作ってみるのもおすすめです!

魚の呼吸に学ぶ

エラ呼吸の重要性とその仕組み

魚が水の中で生きていけるのは、エラ呼吸というしくみがあるからこそです。もし魚が肺しか持っていなかったら、息をするために水面に上がらなければならず、今のような生活はできません。

エラは、水に溶けた酸素をしっかりと血液に取り込むために、長い時間をかけて進化してきた器官です。水の中で効率よく呼吸できるように、エラの形や構造がとても工夫されています。

このようなしくみを知ることで、生き物の体は、その暮らしに合った「しくみ」を持っていることがわかります。まさに、自然界のすごさを感じる部分ですね。

魚との共生を考える

私たち人間の生活と、水の中で生きる魚たちは、実はつながっています。たとえば、川や海を汚してしまうと、水に溶けた酸素の量が減ってしまい、魚たちがうまく呼吸できなくなることがあります

ゴミを捨てない、洗剤の使いすぎに気をつける、自然を大切にする——こうした行動が、魚たちの呼吸を守ることにもつながるのです。

魚の呼吸の仕組みを知ることで、生き物との共生や環境への思いやりを育むことができます。子どもたちが自然と仲良くなり、命の大切さを感じるきっかけになれば素敵ですね。

まとめ|魚の呼吸を知って、自然や生き物にもっと興味を持とう!

魚は私たちと違って、エラという特別な器官を使って水の中で呼吸しています。水に溶けた酸素を効率よく取り込む仕組みや、魚ならではの体のつくりは、知れば知るほど奥が深いものです。

今回の記事で魚の呼吸のしくみやエラの働きについて理解が深まったら、次は実際に魚を観察してみましょう。水族館や川で見かける魚たちにも、新しい視点で接することができるはずです。子どもと一緒に「なぜ?」を探すきっかけにしてみてくださいね。

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