雷が鳴る季節になると、子どもに「なんで雷ってピカッて光るの?」と聞かれることがあります。私も最初はうまく説明できず、つい「空がケンカしてるんだよ〜」なんてごまかしたこともありました。でも、少し仕組みを知ってみると、雷は“こわいだけのもの”ではなく、自然が作り出す不思議な現象だとわかってきます。
この記事では、親子で会話しやすいように、難しい言葉をできるだけ使わず、身近な例えを交えて雷のひみつをまとめました。読み終えたあと、お子さんと「今日の雲、雷出そうかな?」と話せるくらい気持ちが軽くなるはずです。
雷が光る理由|空の中で起きている“電気のケンカ”
雷が光るのは、雲の中にたまった電気が一気に放電して、光として弾けるからです。私は子どもに説明するとき、まず「風船をこすったときに“バチッ”ってくる静電気、あれのすごく大きい版が空で起きてるんだよ」と伝えています。
普段の生活ではなかなか意識しませんが、雷の光は自然がつくり出す壮大な“エネルギーの流れ”なんです。
雲の中では、氷や水滴が激しくぶつかり合い、そのたびに少しずつ電気が別々の場所に分かれていきます。そうやって電気がたまり続けると、やがて限界を迎え、「もう耐えられない!」というように一気に電気が流れ出す瞬間があります。この瞬間が、私たちが“ピカッ”と目で見ている雷の光です。
雲の中で起きている電気の偏り
積乱雲の中では、強い上昇気流と下降気流が生まれています。雲の内部では、氷の粒や水滴が上へ下へと激しく動き回り、ぶつかり合うたびに電気が分かれていきます。
・上のほう=プラスの電気
・下のほう=マイナスの電気
この“電気の偏り”がどんどん強くなると、プラスとマイナスの差が大きすぎて空気が耐えられなくなり、バチッと放電が起きます。
その放電が空を走ると、私たちが見ているような稲妻の形になります。ジグザグなのは、電気が空気中の通りやすい道を探しながら、一気に進んでいくためです。
子どもに説明するときは、「雲の中で氷がケンカして電気をためてるんだよ」と言うと、イメージしやすいみたいです。
この“電気がたまりすぎて爆発する瞬間=光る”のが雷の本質です。
光のスピードはとても速い
雷が“ピカッ”と光ってしばらくしてから“ゴロゴロ”と聞こえるのは、光と音の速さがまったく違うからです。
光は、なんと1秒間に地球を7周半も進めるほどの速さ。一方で音は、1秒で約340メートルほどしか進みません。
子どもに話すときは、こんな例えがよく伝わります。
・光=スーパーで走るカートみたいに超高速
・音=ちょっと疲れたときの歩きくらいの速さ
同じ雷なのに光のほうが先に見えるのは、光のスピードが圧倒的に速いためです。
「ピカッと光ってから何秒で音が来た?」と一緒に数えてみると、雷の怖さが少し和らぎ、自然の仕組みがぐっと身近になります。
また、光が先に来ることを利用して、雷までの距離をある程度知ることもできます。「3秒で音が聞こえたら、1kmくらい先に雷がいるよ」と話してあげると、子どもなりに距離感がつかめて安心につながります。
種類によって光り方が違う?雷の“見え方のひみつ”
雷とひとことで言っても、その光り方には実はいくつか種類があります。私も子どもと窓の外を眺めながら「今の横に走ったね」「さっきのは空全体が光った気がするよ」と話すだけで、雷への恐怖が少しまろやかになった経験があります。
光り方を知っていると、ただの“怖い現象”ではなく、「あ、今のは稲妻かな?」と観察する気持ちに変わっていくんですよね。
稲妻(いなずま)|横に走る光
最もよく見る雷の光がこの稲妻です。雲の中や雲の外で放電が起き、ジグザグとした形で横方向に光が走ります。
子どもと一緒に見ていると、「なんでギザギザなの?」と質問されることがありますが、これは電気が空気中の“通りやすい道”を探しながら、一気に流れるためにジグザグになるんです。
稲妻の光がはっきり見えるときは、雷雲が比較的近くにあるサインでもあります。
「近くに雷雲があるかも」と意識して、室内に移動する準備をしておくと安心です。
閃光(せんこう)|空全体がふわっと光る
「ピカッ」というよりも「パッ」と空が明るくなる光り方があります。これが閃光です。
雲の内部で放電が起きると、外側からは光が雲全体を明るくしているように見えるため、空全体が“ふわっ”と光るように感じます。
・強い音が伴わない
・遠くで雷が発生しているサイン
・昼間でも明るさに気づくことがある
小さなお子さんは、この明るさに驚いてしまうこともありますが、「遠くの雷がちょっと光っただけだよ」と伝えると、落ち着きやすくなります。
地面に落ちる雷(落雷)
雷の中でも特に注意が必要なのが、地面に向かって光が走る“落雷”です。
雲の下のマイナスの電気が地面のプラスの電気とつながり、一気に電気が流れ込むことで発生します。
稲妻に比べて一直線に近い形で地面へ向かうため、見た目でも分かりやすいことが多いです。
落雷は次のような特徴があります。
・音が非常に大きい
・衝撃が近くまで伝わる
・木や建物、地面に被害を与えることがある
特に外にいるときは、「光がまっすぐ落ちるように見えたら、すぐに安全な場所へ」と決めておくと、子どもも迷わず避難できます。
雷が近いとどう感じる?家庭でできる“距離の測り方”
雷が光ったとき、子どもと一緒に「今の光、何秒で音が来るかな?」と数えるのは、わが家でよくやる小さな観察遊びです。怖がりな子でも、数字を数えることに意識が向くので落ち着きやすくなりますし、自然の仕組みを理解するきっかけにもなります。
この“光ってから音が聞こえるまで”のわずかな時間が、雷の距離を知るヒントになるんです。
数えてみよう|光ってから音まで
雷の光と音は同じ瞬間に発生しているのに、私たちの元に届くタイミングは異なります。これは「光はとても速い」「音はゆっくり」という違いがあるからです。
音は1秒で約340メートル進むといわれているため、光ってから音が聞こえるまでの秒数を数えると、およその距離がわかります。
例えば…
・3秒後にゴロゴロ → 約1km先
・5秒後にゴロゴロ → 約1.7km先
・10秒後なら → 約3.4kmほど先
子どもに伝えるときは、「1秒で300メートルくらい進む」と丸めて話すと、数字が苦手でもイメージしやすいようです。
また、この測り方は雷が接近しているか離れていくかを知るヒントにもなります。
連続して光ったときに「さっきより音が早く来たね」「今度は少し遅れたね」と観察するだけで、親子で自然の変化を楽しめます。
距離の目安を知っておくと安心
雷の距離を知ることは、怖さを減らすだけでなく、安全を守るうえでもとても大事です。
わが家では、子どもが不安そうなときには「今はまだ遠いよ」「ちょっと近づいてきたね」と声をかけながら状況を共有するようにしています。
一般的な目安はこんな感じです。
・5秒以上 → まだ遠め、落ち着いて行動できる
・3〜4秒 → やや近いので屋内へ
・2秒以下 → とても近い。すぐに安全な場所に移動
特に子どもには、「音がすぐ来たら、すぐ安全な場所に入ろうね」と先に伝えておくと、実際に雷が近づいたときにもパニックになりにくいと感じます。
距離の測り方は遊び感覚でできるのに、安全につながる大切な知識でもあります。雷の日には、親子でそっと窓から空を見ながら「いま何秒だった?」と会話してみてください。少し怖い雷の時間が、静かな学びのひとときに変わっていきます。
雷のときに気をつけること|家庭でできる安全対策
雷は自然がつくり出す大きなエネルギーですが、正しい対策を知っておくだけで怖さがぐっと軽くなります。私自身、子どもがまだ小さかったころ、急に雷雨がやってきて慌てて玄関に駆け戻ったことがあり、「もっと落ち着いて行動できたらよかった…」と感じた経験があります。
だからこそ、雷の日は“何に気をつけたらいいのか”を知っておくことが、安心につながる大事なポイントなんです。
外にいるとき
雷の危険性が高いのは、実は屋外にいるときです。とくに周りに高いものが少ない場所は落雷を受けやすくなるため注意が必要です。
・木の下に入らない
つい雨宿りをしたくなりますが、木は落雷を受けやすい場所。幹や根を通して地面に電気が流れるため、木の近くにいるだけでも危険な場合があります。
・傘を閉じて低い姿勢になる
金属の骨がある傘は避雷針のような役割をしてしまうことがあります。傘を閉じ、姿勢を低くすることで落雷のリスクを下げられます。
・公園の広場や川のそばから離れる
開けた場所は最も高い対象が人間になりやすい環境です。また川・海・池などの水辺は電気を通しやすく、距離を取るのが安全です。
特に子どもが一緒のときは、「空が暗くなってきたら早めに帰ろうね」と声をかけておくと行動しやすくなります。
家の中にいるとき
家の中なら安全…と言いたいところですが、実は雷の電気が家の電線や水道管を伝って入ってくる可能性があります。避けたほうがいい行動を知っておくと安心です。
・窓辺から離れる
窓ガラスが割れる可能性は低いですが、強い衝撃が加わることがあるため、雷が近いときは窓から少し距離を置くのが安心です。
・コードの抜き差しを控える
電気が流れ込んだときに家電が壊れることがあります。雷の音が近くなってきたら、コンセントの抜き差しは避けておくと安全です。
・シャワーや水道の使用はなるべく避ける
水道管を通って電気が流れることがまれにあります。雷が近い間だけでも、シャワーや手洗いを控えると安心です。
家の中でやることは少しの工夫だけですが、知っているかどうかで気持ちの安心感が全く違います。
子どもに伝えておくと良いこと
雷のときに何より大切なのは、“子どもがひとりで不安を抱え込まないこと”です。
わが家では、雷が鳴り始める季節になると、あらかじめ子どもにこう話しています。
「雷が怖いときは、すぐ大人のところへ来てね」
この一言があるだけで、子どもは何かあっても逃げ道があると感じて安心してくれます。
抱きしめてあげたり、一緒に数を数えたり、“何があってもそばにいるよ”という空気を作ることが、雷への恐怖をぐっと軽くする力になります。
雷は避けられない自然現象ですが、正しい知識と準備があれば“怖い時間”から“守られた時間”へと変えることができます。
親子で安心して過ごすために、普段から少しずつ話しておくと心の余裕につながります。
親子で楽しむ“雷の話”|怖さが少しやわらぐ工夫
雷は「こわい」「うるさい」という印象が強く、特に小さな子どもは音にびっくりして泣いてしまうこともよくあります。
でも、雷は“自然がどんなふうに動いているか”を知るきっかけにもなる存在。見方を少し変えるだけで、親子で楽しく過ごせる時間に変わっていきます。
私自身、子どもが雷を怖がっていた時期に、ただ「大丈夫だよ」と言うだけでは不安を拭いきれないと感じたことがありました。そこで視点を変えて、「雷を観察してみる時間」にしてみたところ、少しずつ怖がる気持ちが和らいでいったんです。
わが家でよくやる声かけ
雷の光が見えた瞬間に、私はよくこんな声かけをします。
「今のピカッて光ったね。どっちの雲が電気いっぱいだったんだろうね?」
単純なひとことですが、子どもは“怖い音”よりも“考えるポイント”に意識が向くようになるので、表情が落ち着きやすくなります。
一度気持ちが落ち着いてくると、「あ、さっきのは長く光ったね」「横に走ったね!」と、観察するような目線に変わっていきます。
また、雷の光と音を一緒に数えるのもおすすめです。
・「今の光から何秒だった?」
・「さっきより遅かったね、遠くに行ったのかな?」
こうした会話は、雷を“敵”ではなく“自然の仕組み”として見られるきっかけになります。
“怖さを小さな好奇心に変える声かけ”は、雷の日の不安をやさしくする力があります。
後から振り返ると楽しい会話に
雷が過ぎ去った後、少し落ち着いてから振り返る時間をつくるのも、親子で楽しめる工夫のひとつです。
わが家でも夕ごはんのときなどに少しだけ話題にしてみると、子どもなりの世界が広がっていることに気づきます。
「今日の雷、空が怒ってるみたいだったね」
「光のほうが先に来るんだよね!」
「音が遅れてくるって不思議だね」
子どもの言葉には、ただの恐怖を乗り越えた“気づき”が詰まっています。それを聞くことで、親としても「怖い時間が、こんな会話につながるんだな」とうれしくなる瞬間があります。
また、雷の後に空が澄んで見える日もあるので、「雨のあとって空きれいだね」と話すと、自然の移り変わりにも興味を持ちやすくなります。
親子で会話するだけで、“雷=こわい”だった印象が少しずつ変わっていき、次に雷が来たときに慌てることが減っていきます。
雷は避けられない現象ですが、親子で向き合い方を工夫することで、心の中の不安がやさしくほどけていく時間になります。
まとめ|今日の雷を“ちょっと学びの時間”に変えてみよう
雷が光る理由は、雲の中にたまった電気が一気に放電するから。仕組みをほんの少し知るだけで、こわいだけの現象が「自然ってこんなことが起きているんだ」という発見のきっかけになります。
私自身、雷が鳴る日は子どもが不安そうな顔をするので、まずは抱き寄せて安全を確認しつつ、「さっきの光、どうして見えたのかな?」と聞いてみることがあります。そうすると、緊張していた表情がだんだんほぐれて、「光のほうが早いから?」「雲がケンカしてた?」など、子どもなりの答えが返ってきて、自然と会話が広がっていきます。
雷は避けられない自然現象ですが、親子で向き合い方を変えることで、恐怖心を減らせるだけでなく、新しい学びの時間にもなります。
“安全を確保して、ひとことだけ問いかけてみる”
この小さなステップだけで、雷の時間がぐっと穏やかで前向きなものになります。
もし今日雷が近づいてきたら、ほんの少し勇気を出して、親子で空を見上げてみてください。
「今の光、どうして見えたんだろうね?」
その一言が、自然への興味を育て、親子の心をやさしくつなぐ時間になりますように。

