子どもから「寝ている間って、からだは何してるの?」と聞かれて、うまく答えられず困ったことはありませんか。私も息子に同じことを聞かれ、「寝る=休む」くらいしか言えずにモヤモヤしたことがありました。でも実は、眠っている時間こそ、からだの中ではたくさんの“お仕事”が行われています。
この記事では、親子で一緒に読めるように、むずかしい専門用語を使わずに「寝ている間にからだで起きていること」をやさしくまとめました。
寝る意味を知ると、子どもが自然と早寝に前向きになったり、家族の生活リズムの見直しにもつながります。
眠っている間におこるからだのはたらき
成長ホルモンが分泌される
子どもにとって特に大切なのが「成長ホルモン」。寝ているとき、からだの中ではこのホルモンがぐんと増え、骨や筋肉、内臓の成長をサポートしてくれます。
特に深い眠り(ノンレム睡眠)のタイミングで多く分泌されるため、寝つきの良さや眠りの深さが成長に直結しているんです。
私も息子が幼い頃、寝顔を見ながら「今日はどれくらい伸びてるかな?」なんて思っていました。子どもって、昨日より今日、気づけばすぐに背が伸びていたりしますよね。その裏側にあるのがこの成長ホルモンの働きです。
深い眠りをしっかり確保することが、子どもの“成長のスイッチ”を入れる最大のサポートになります。
からだの修復作業が進む
眠っている間、からだはまるで小さな工場のように「修復作業」をしています。筋肉の疲れ、皮膚のダメージ、日中酷使した内臓まで、あらゆる部分のメンテナンスが行われます。
たとえば、転んですりむいた膝。寝る前は赤くひりひりしていても、朝起きると少し落ち着いていた…そんな経験はありませんか?あれは、夜の修復作業ががんばってくれている証拠です。
私自身も、寝不足の日は肌が荒れたり、からだが重く感じたりします。「寝ないとダメなんだな…」と痛感する瞬間ほど、睡眠が自然の薬なのだと気づかされます。
免疫が強くなる
風邪を引いたとき、やたら眠くなったり、ぐっすり寝たら翌朝少し楽になっていたりしますよね。あれは、からだが「眠って免疫を働かせてね」とメッセージを送っている状態です。
寝ている間、免疫細胞はウイルスや細菌と戦い、体調を元に戻そうと全力で働きます。熱が出た日に子どもが汗をびっしょりかいて寝ていたことはありませんか?
あれも、からだの免疫がしっかり動いているサインなんです。
病院や薬だけに頼るのではなく、まずは“よく眠ること”。それだけで免疫の力が後押しされ、回復が早くなることもあります。
記憶を整理して、頭をすっきりさせる
寝ている間、休んでいるように見える脳は、実はかなり忙しく働いています。
その日に覚えたこと、学校での出来事、友達との会話。こうした体験を、脳は「必要なもの」と「忘れてOKなもの」に振り分け、記憶の引き出しにしまい込んでいるのです。
だからこそ、寝不足の日はぼんやりしたり、集中できなかったりします。
逆に、ぐっすり眠った翌日は頭がシャキッとして、「なんだか昨日より覚えるのが楽かも」と感じることもあります。
うちの子も、前日に解けなかったプリントが次の日にはすんなりできたりして驚かされることがあります。しっかり眠ることが、勉強の吸収力にも関わっていると実感します。
睡眠は“脳の整理整頓タイム”。たっぷり寝ることで、心も頭も軽くなる大切な時間です。
睡眠のリズムはどうなっているの?
レム睡眠とノンレム睡眠
睡眠はずっと同じ深さではなく、「レム睡眠(浅い眠り)」と「ノンレム睡眠(深い眠り)」が90分ほどの周期で入れ替わりながら続いていきます。このリズムが整っているかどうかで、翌日の元気さや集中力、情緒の安定まで左右されます。
ノンレム睡眠は、からだの修復や成長が進む“本格的な休息タイム”。呼吸がゆっくりになり、筋肉もしっかり休めてくれます。ここで成長ホルモンがたっぷり出るので、子どもにとってはまさに「大事な成長チャンス」の時間です。
一方、レム睡眠は脳が活発に動いている浅い眠りで、記憶整理や気持ちの調整を担っています。からだは休んでいるけれど、脳は忙しく“今日の出来事ファイル”を片づけているイメージです。
レム睡眠とノンレム睡眠が順番に訪れることで、“からだも心も整う睡眠”が完成します。
子どもは大人に比べてノンレム睡眠の割合が多く、深く眠る力が強いのが特徴。だからこそ、眠りが十分にとれているかどうかが、成長や情緒の安定に直結するのだと日々感じます。
夢を見るのはどんなとき?
夢を見るのは、主にレム睡眠のとき。脳が記憶の整理整頓を行っているため、いろいろな映像や記憶がつながって不思議な物語のようになって現れます。
息子が朝、布団の中で「昨日ね、すっごく変な夢を見た!」と嬉しそうに話してくれることがあります。そんな日は、きっと頭の中でいろんな気持ちや経験を並べ替えていたのだと思うと、なんだか微笑ましくなります。
悪い夢を見た日でも、必ずしもマイナスではありません。怖い体験や不安を脳が整理して、気持ちを落ち着かせようとしている場合もあるからです。夢は、子どもたちのこころが成長するための大切なプロセスのひとつなんですね。
夢は“こころのバランスを整える作業”でもあるため、安心して眠れる環境づくりがとても重要です。
親子でできる“良い眠り”の習慣
寝る前のルーティンをつくる
寝る前に毎日同じ流れをつくると、からだや脳が自然と「そろそろ休む時間だ」と感じてくれるようになります。これは大人でも効果がありますが、とくに子どもには抜群に効きます。
たとえば
・絵本を一冊読む
・麦茶などをひと口飲む
・部屋の照明を少し暗くする
こうした“合図”があると、寝る準備がスムーズになり、気持ちも落ち着きやすくなります。
私の家では、寝る前に「今日はどんな一日だった?」と短い会話をしてから絵本を読むのが定番です。たった数分ですが、子どもの心が落ち着いて、布団に入る時間を“安心できる時間”に変えてくれています。
寝る前のルーティンは、子どもにとって“安心して眠りに入るための道筋”になります。
寝室の環境を整える
良い眠りのためには、寝室の環境づくりも欠かせません。ちょっとした調整だけで、眠りの質がぐっと変わります。
私が意識しているのは次のポイントです。
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室温は20〜22℃
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湿度は50〜60%
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布団や枕は清潔に
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部屋の光はできる限り暗くする
とくに光は眠気の妨げになりやすく、寝る直前のスマホやタブレットは睡眠ホルモンの分泌を邪魔してしまいます。寝室に持ち込まないだけでも効果は大きく、子どもが寝つくスピードが目に見えて変わりました。
寝室を“眠るためだけの場所”として整えると、布団に入った瞬間に自然とスイッチが切り替わります。お気に入りのぬいぐるみがそばにあると、それだけで安心感につながる子も多いですね。
環境づくりは、大人も子どもも「眠りの質」を引き上げるいちばん取り組みやすい習慣です。
日中しっかり動く
日中にからだをしっかり動かすと、夜に自然と眠気が高まり、眠りの深さも安定します。
散歩や公園遊び、ボール遊び、家の中での簡単なストレッチでも十分。とにかく「体を動かして満足したな」と感じることがポイントです。
うちの子も、休日にたくさん遊んだ日は寝つきが早く、翌朝の目覚めもすっきりしています。逆に、天気が悪くてあまり動けなかった日は夜になってもなかなか眠れず、からだが余っているのがよく分かります。
親である私自身も、軽く体を動かした日はぐっすり眠れます。同じリズムで生活している子どもなら、なおさら影響は大きいのだと感じます。
「昼にしっかり動くこと」は、夜の睡眠の質を上げるための土台になります。
子どもに伝えたい「寝ることの大切さ」
眠ることは“がんばるための準備”
子どもに「早く寝なさい」と言っても、なかなかすんなり布団に入ってくれないことがありますよね。
でも、「寝ること=休むだけ」ではなく、「明日もっと元気にがんばるための準備なんだよ」と伝えると、子どもは少し捉え方が変わります。
眠っている間にからだがしている“成長・修復・記憶整理”の話をすると、子どもは意外と素直に納得してくれるものです。
私は息子に「寝ると体が強くなるよ」「背もぐんと伸びるよ」と説明するようにしています。すると、「じゃあ今日は早めに寝とこうかな」と自分から布団に入る日が増えてきました。
子どもって、本当は“良くなれるならやってみたい”という気持ちが強いんですよね。寝ることが自分の成長につながると分かると、寝ること自体が前向きな行動になります。
眠りは、子どもが“明日の自分をつくるための最強の準備”です。
気持ちが落ち着く時間でもある
眠りはからだのためだけでなく、こころを整える役割もとても大きいものです。
学校でうまくいかなかった日、友達とのちょっとしたトラブル、理由の分からないモヤモヤ…。どんな子でも、いろいろな感情を抱えて帰ってきます。
そんなとき、しっかり眠ることで感情の整理が自然と進んで、翌朝は気持ちが軽くなっていることがありますよね。
大人でも「寝たらスッキリした」という経験があるように、子どもの心も睡眠の力で落ち着きを取り戻します。
息子も、寝る前に不安そうに話していたことが、翌朝には「あれ、もう大丈夫かも」とケロッとしていることがあります。寝ている間に気持ちがクールダウンし、心の中のごちゃごちゃを整えてくれているのだと思います。
眠りは、子どもが自分の気持ちをリセットして、翌日を前向きに迎えるための大切な時間。
まとめ|今日の夜、親子で“眠りの話”をひとつしてみよう
寝ている間、からだはただ横になって休んでいるだけではありません。
成長ホルモンがぐんと分泌され、傷んだ部分を修復し、免疫の力を高め、脳の中では一日の記憶や感情を丁寧に整理しています。
こうして見てみると、睡眠は「休む時間」というよりむしろ、明日の自分をつくるための“大切な働きの時間”だということが分かります。
だからこそ、子どもに「寝るってすごいことなんだよ」と伝えてあげたいですよね。
ただ「早く寝なさい」と言うより、眠りのひみつを少し話すだけで、子どもが自分から布団に行こうとするきっかけになります。
今日はぜひ、
・成長ホルモンのお話
・レム睡眠とノンレム睡眠のリズム
・寝ると気持ちが落ち着く理由
この中から、どれかひとつだけで大丈夫なので、親子で話題にしてみてください。
「寝るのって大事なんだね」「じゃあ今日は早めに寝てみようかな」と、子どもの心の中にそっと前向きな気持ちが芽生えるかもしれません。
親子で眠りについて話すことは、生活リズムを整える小さな第一歩であり、家族の毎日をやさしく支える習慣になります。
今日の夜、ほんの数分でいいので、眠りのひみつをひとつだけ子どもに伝えてみてください。
その短い会話が、あなたの家庭に心地よい眠りのリズムを運んでくれるはずです。
