「どうしてお金でお菓子がもらえるの?」という疑問
レジ前で突然の問い
ある日、娘と一緒にスーパーへ行ったときのこと。レジに並んでいた私の手には、夕飯の食材と娘が選んだお菓子が入ったかご。すると娘が、ぽつりと一言。
「どうしてお金でお菓子がもらえるの?」
私は少し驚いて、「ああ、そうか。こういうことって、まだ教えたことなかったな」と内心で思いながら、急いで頭の中を整理しました。
「お金は交換の道具だよ」と答えたけれど…
とっさに出てきたのは、「お金はね、お菓子と交換する道具なんだよ」という説明。でも娘は首をかしげたまま。
「じゃあ、お金はどこから来たの?」
……そうだよね。子どもにとっては、“レジでお金を出すと物がもらえる”という事実は見えても、その裏側の仕組みや価値の話までは見えていない。
その日をきっかけに、「お金って何?」という問いについて、私自身も改めて考えるようになりました。
子どもに“お金の仕組み”をどう伝える?
「誰かの作ったものをありがとうってもらうんだよ」
翌日、改めて娘と話す時間を取りました。
「お金ってね、たとえばお菓子を作ってくれた人や、お店に並べてくれた人に“ありがとう”の気持ちを伝える道具なんだよ」
娘はじっと私の話を聞いていました。モノがそこにあるまでの“人の働き”に目を向ける視点は、少しずつでも伝えていきたいと思った瞬間でした。
「働く」と「価値」の話も少し
さらに、「ママやパパもお仕事をして、そのありがとうのお返しにお金をもらうんだよ。だから、お金には“がんばった価値”があるんだ」と話しました。
娘は「ふーん」と言いながら、なにかを考えているようでした。大人にとっては当たり前すぎて説明しないことも、子どもにとっては新鮮な発見なのだと気づかされます。
家庭でできる“お金の教育”
ごっこ遊びやおつかいから始める
それ以来、我が家では「お金」について考える機会を少しずつ増やしました。おままごとの中で「100円です」「ありがとう」などのやりとりを取り入れたり、小さなおつかいをお願いして「これは○○円だったよ」と報告してもらったり。
“お金を使う”ことが、ただの数字のやりとりではなく、人と人とのつながりや感謝の循環であることを、遊びを通して伝えるよう意識しています。
「わたしも働いてみたい」と娘が言った日
学びのきっかけは身近にある
そんなある日、娘が突然「わたしも働いてみたいな」と言い出しました。
「お手伝いしたら、お金もらえるの?」と聞く娘に、「じゃあママの仕事を手伝ってみる?」と冗談交じりに言ったら、「うん!」と即答。もちろん実際にはお金を渡すことはせず、「ありがとう券」を手作りして渡しました。
子どもにとって「働く」「お金」「ありがとう」は、きっとすべてつながっているんだなと、改めて感じました。
まとめ|お金の話は、今日の会話から始めてみよう
「お金ってなに?」という素朴な疑問は、大人が忘れかけていた大切な問いでもあります。子どもとの会話を通じて、お金の意味や価値、感謝の気持ちを少しずつ伝えていけたら、それが本当の“金融教育”の第一歩かもしれません。難しく考えず、今日の買い物やごっこ遊びから、ぜひ始めてみてください。