お金の歴史を子ども向けに解説！昔の暮らしもわかる

「お金ってどうしてあるの？」「昔はどうやって買い物していたの？」——そんな疑問を子どもに聞かれて、うまく説明できず困ったことはありませんか？実は、お金の歴史を知ることは、子どもにとって「価値」や「社会のしくみ」を学ぶ第一歩。

本記事では、物々交換の時代から始まり、金貨や紙幣、キャッシュレスまで、お金の進化をやさしく解説します。昔の暮らしもイメージできる内容で、親子で楽しく学べますよ。
初めて学ぶ子どもにも安心の内容なので、ぜひ一緒にお金の物語をひも解いてみましょう。

お金の歴史を知ろう！

物々交換って何？

今のようにお店でお金を出して買い物をすることが当たり前ではなかった昔、人びとは「物々交換（ぶつぶつこうかん）」という方法で生活していました。
たとえば、魚をたくさん取った人が「この魚をあげるから、お米をちょうだい」と頼み、お米を持っている人が「いいよ」と言えば、交換が成立します。
このように、自分の持っている物と、相手の欲しい物を取りかえるというのが物々交換です。

でも、この方法には問題もありました。相手が「魚はいらない」と言ったら、交換ができません。また、「魚1匹はお米どれくらいにあたるの？」という価値の目安もないため、交換のたびに話し合わなければならず、大変だったのです。

お金ができる前の生活

お金がない時代の人々は、持ち物や技術を使って暮らしていました。たとえば、野菜を育てる人、魚をとる人、服を作る人など、それぞれの「得意なこと」を活かして物を手に入れていたのです。

しかし、生活が複雑になるにつれ、交換だけではうまくいかないことが増えてきました。
・欲しいものが手に入らない
・価値がバラバラでわかりにくい
・遠くの人とは交換しにくい
こんな不便を解決するために、新しい方法が求められるようになったのです。

なぜお金が必要になったの？

「みんなが安心して使える、共通のものがあれば便利だよね」
そんな考えから、物の代わりになる“道具”として生まれたのが「お金」です。

お金があれば、自分の持っている物をいったん「お金」にかえて、そのお金で好きなものを買うことができます。
これにより、「直接交換しなくてもいい」「価値が数字でわかる」「どこでも使える」という便利な仕組みができあがったのです。

お金が生まれるまでの道のり

お金の始まりとその役割

最初に使われたお金は、今のようなお札やコインではなく、貝がらや石、塩、布などでした。これらは「みんなが価値を認めていたもの」だったのです。

やがて、壊れにくくて持ち運びやすい金属（銅・銀・金など）が使われるようになり、「これが○○の価値です」と刻まれた金属のお金が作られるようになりました。
それが「貨幣（かへい）」の始まりです。

お金には「ものの価値をはかる」「欲しいものと交換できる」「あとで使うためにためられる」といった3つの大きな役割があります。これらの役割は、今の時代でも変わっていません。

最初に作ったお金は？

人類が初めて金属のお金を作ったのは、紀元前7世紀ごろのリディア王国（現在のトルコ）とされています。
そのころのお金は、「エレクトロン」と呼ばれる自然に存在する金と銀の合金でできており、手のひらサイズのコイン状でした。

この「重さが決まっている」「国が保証している」という特徴が、人びとにとって安心して使える仕組みとなり、世界中に広まっていくきっかけとなりました。

世界の貨幣の歴史

世界各地で、独自の貨幣が生まれました。
たとえば、中国では「布銭（ふせん）」や「刀銭（とうせん）」と呼ばれる、布や刀の形をした金属貨幣が使われていました。これは、もともと物として価値があったものの形をそのまま模していたのです。

ヨーロッパでは、古代ローマ帝国のコイン（デナリウスなど）がよく知られています。皇帝の顔やシンボルが刻まれ、政治的なメッセージとしての意味も持っていました。

貨幣の形や材料は違っても、共通するのは「価値を信じて交換できること」。それが世界共通のお金の役割です。

日本の古代通貨とは？

日本で最初に作られた正式な貨幣は、「和同開珎（わどうかいちん）」と呼ばれる銅のお金です。これは奈良時代の708年に発行されました。
当時の政府が、「人びとにもっと便利な暮らしを」と考えて発行したものです。

和同開珎は丸い形に四角い穴があいたデザインで、紐に通して持ち運ぶことができました。その後も、さまざまな銭貨が発行され、日本独自の貨幣制度が発展していきました。

お金の種類を学ぼう！

お札と硬貨の違い

お店で買い物をするとき、100円玉や1,000円札を使うことがありますよね。でも、この2つのお金には大きな違いがあります。

まず「お札（さつ）」は、紙でできていて、高い金額（たとえば千円・五千円・一万円）を表しています。一方、「硬貨（こうか）」は金属で作られたお金で、少ない金額（1円・5円・10円など）を表します。

このように、使い分けることで、おつりが出にくくなったり、お財布の中が整理しやすくなったりするのです。
たとえば、ジュースを買うときは硬貨、おもちゃを買うときはお札というように、金額に合わせて使う工夫も学べます。

金貨や銀貨の歴史

今では紙や金属の硬貨が使われていますが、昔のお金は「金」や「銀」でできていた」ことをご存知ですか？

金貨や銀貨は、その素材（そざい）自体に価値（かち）があるため、お金として信頼されていました。たとえば、昔のヨーロッパでは「ダカット金貨」、中国では「銀元」などが使われていました。

また、日本でも江戸時代には「小判（こばん）」という金貨が使われていました。これらは、今では博物館や資料館でしか見られない貴重なものです。
歴史を学ぶときに、「この時代にはどんなお金が使われていたのか」を調べてみるのも面白いですよ。

キャッシュレス社会と未来の貨幣

最近では、「お金を出さなくても買い物ができる時代」になってきました。これが「キャッシュレス（現金を使わない）」という新しい支払い方法です。

たとえば、次のような方法があります。

• スマートフォンのアプリで支払う（例：PayPayやLINE Pay）

• クレジットカードやICカードを使う

• オンラインショッピングで口座から引き落とす

これらはすべて、現金（お札や硬貨）を使わないお金の使い方です。
これから先、さらに技術が進めば「デジタル通貨（つうか）」といって、スマホの中だけで使うお金も当たり前になるかもしれません。

子どもたちにとっても、「将来のお金はどんな形になるのかな？」と想像するきっかけになります。

お金の価値が変わる理由

インフレーションとは？

「インフレーション」とは、物の値段が上がってしまい、お金の価値が下がることを意味します。

たとえば、去年まで100円で買えていたパンが、今年は120円になってしまったとします。この場合、同じ100円では買えなくなるので、お金の価値が下がった（買える量が減った）ということになります。

このような状態が続くと、生活が大変になってしまう人も出てきます。だから、国は物の値段やお金の流れをうまく調整しようとしています。

経済とお金の関係

お金の価値は、「経済（けいざい）」という社会全体のお金の動きと関わっています。

たとえば、

• 国の景気が良くなれば、お給料が増えて物がよく売れる

• 戦争や自然災害が起きると、物が足りなくなって値段が上がる

• 海外の国との貿易（ぼうえき）や円安・円高の影響でも、お金の価値が変わる

このように、世界のニュースとお金はとても深くつながっているのです。ニュースを見るときに「この出来事で、お金はどうなるのかな？」と考えてみるのもおすすめです。

お金を使うときの注意点

お金はとても大切なものです。だからこそ、「なんでも欲しいから買う」ではなく、「本当に必要かどうか」を考えることが大切です。

たとえば、こんな問いかけをしてみましょう。

• 今持っている物で足りていない？

• 本当に必要なときまで待てないかな？

• 同じ物でも、もっと安く買える方法はないかな？

このように「よく考えて使う」ことが、お金の大切さを知る第一歩です。

大人も子どもも、お金を使う前に一度立ち止まって、「これは自分にとって価値がある使い方かな？」と考える習慣をつけていきましょう。

楽しく学ぶお金の歴史

お金の歴史に関するクイズ

学びは「楽しい」と思えることが一番！
お金の歴史についても、クイズを使えばぐっと身近に感じられます。

たとえば、こんなクイズに挑戦してみましょう。

• Q. 日本で最初に作られたお金の名前は？
  → A. 和同開珎（わどうかいちん）

• Q. 世界で初めて作られたコインはどこの国？
  → A. 紀元前7世紀のリディア王国（今のトルコ）

• Q. 昔のお金にはどんな形があった？
  → A. 貝がら、刀の形、丸い穴のある銅銭 など

親子で交代で出題し合ったり、学校の授業でグループ対抗戦をしたりすると、楽しみながら知識が深まります。

図鑑や絵本で学ぶ方法

難しい歴史の話も、図鑑や絵本を使えば、子どもでも理解しやすくなります。

おすすめは、次のような教材です。

• 小学生向けのお金図鑑
  　→ 写真やイラストが豊富で、お金の成り立ちや種類をビジュアルで学べます

• 絵本「おかねってなあに？」シリーズ
  　→ お金をどう使うか、なぜ大切かを物語形式で楽しく伝えてくれます

• 歴史まんがシリーズ（学研など）
  　→ 昔のお金や商人の働きなども出てくるので、歴史と経済の関係を楽しく学べるツールになります

読み聞かせや自学にもぴったりで、「読む→見る→考える」の3つの学びが自然に身につきます。

学校でのワークショップ

最近では、小学校でも「お金の学び」が増えてきました。
ただ数字を学ぶのではなく、「体験しながら学ぶ授業」が増えているのです。

たとえば、

• お店屋さんごっこ
  　→ 商品を並べて、お金を使って買ったり売ったり。値段をつける体験も！

• 買い物体験（模擬通貨）
  　→ 与えられた“おこづかい”の中で、何を買うかを考えながら行動します

• 家計管理ゲーム
  　→ 収入と支出のバランスをとるゲームで、お金を計画的に使う大切さが学べます

こうした活動を通じて、子どもたちは「お金の価値」や「使い方の工夫」を自然に体得していくのです。

お金は未来をどう変える？

お金の重要性を理解しよう

お金は、生きていくうえでとても大切なものです。
でも、「お金があれば幸せになれる」わけではありません。

本当に大切なのは、お金を「どう使うか」「どう貯めるか」「どう分け合うか」です。

たとえば、

• 欲しいものを全部買うのではなく、大切なものを見極めて選ぶ力

• すぐに使い切らず、未来のために少しずつ貯める習慣

• 必要としている人や社会のために、分け合う思いやり

こうした力を身につけることが、将来のお金とのよい付き合い方につながります。

経済に与える影響

「お金の使い方ひとつが、社会を変える」
これは、大人だけの話ではありません。子どもだって、影響力を持っています。

たとえば、

• 子どもがよく行くお店が人気になり、売上が上がってスタッフが増える

• SNSで紹介された商品が売れて、会社の業績が伸びる

• 地元の商店街でお金を使うと、その地域の活気が増す

このように、お金の動きは「経済（けいざい）」という社会の流れをつくるエネルギーです。
「誰に」「どこに」「どんな目的で」お金を使うのか、それが未来を左右するとも言えます。

未来のお金の形を考えよう

今はまだ、現金（お札や硬貨）を使って買い物をすることが多いですが、将来はもっと新しいお金の形が出てくるかもしれません。

たとえば、

• スマートウォッチやメガネで決済する

• ゲームの中で使う仮想通貨が現実でも使えるようになる

• AIが自動で家計を管理してくれるようになる

「もし自分が新しいお金を作るとしたら、どんなものにする？」
こんな話を親子でしてみると、創造力（そうぞうりょく）と経済感覚の両方が育ちます。

未来のお金を考えることは、「これからの社会や生き方」を考えることでもあるのです。

まとめ｜お金の歴史を知って親子で楽しく学ぼう

お金は、ただの道具ではなく、社会の進化とともに変わってきた大切な存在です。物々交換からはじまり、金貨や紙幣、そしてキャッシュレスへと変化してきた歴史を知ることで、子どもたちは「なぜ今のお金があるのか」を深く理解できるようになります。

この学びは、将来のお金の使い方や価値観の土台にもつながります。ぜひ親子で一緒にお金の歴史をふり返りながら、これからの未来のお金についても話し合ってみましょう。楽しく学べば、きっと記憶にも残りますよ。