「お金ってどうやって作られてるの?」と、子どもから聞かれて困ったことはありませんか?
今の時代、お金のしくみや使い方を小さいうちから学ばせたいと考える保護者も増えています。
でも、難しい話はちょっと…という方も安心してください。
本記事では、子どもでも楽しく理解できる「お金の作り方」と「正しい使い方」をやさしい言葉で解説。
さらに、遊びながら学べる金銭教育の工夫や家庭でできる取り組みもご紹介します。
お金の役割とは?
お金とは何か?
お金とは、物を買ったり、サービスを受けたりするために使う道具のことです。
たとえば、アイスを買うとき、ゲームセンターで遊ぶとき、文房具を買うときも、すべてお金を使ってやりとりしています。
昔の人たちは、お米と魚を交換したり、野菜と布を交換したりして生活していました。これを「物々交換(ぶつぶつこうかん)」といいます。
でも、物々交換は「おたがいの欲しいものが一致しない」とうまくいきません。そこで生まれたのが、「お金」という共通の道具です。
お金があれば、どんな人ともスムーズにやりとりができるようになります。
お金の種類とその特徴
今の日本では、「紙幣(しへい)」と「硬貨(こうか)」という2つの形のお金があります。
-
紙幣:1,000円、5,000円、10,000円などのお札のこと
-
硬貨:1円、5円、10円、50円、100円、500円などのコインのこと
それぞれ重さや大きさ、色も違い、触っても見分けられるよう工夫されています。
さらに最近は、「電子マネー」「スマホ決済」「QRコード決済」など、実物がないデジタルなお金も使われるようになっています。
たとえば、SuicaやPayPay(ペイペイ)などもお金の一種ですが、形はありません。カードやアプリに入っていて、タッチするだけで支払いができます。
お金の流通の重要性
お金は、「作って終わり」ではありません。使う人の手に届いて、初めて意味があるものです。
-
お店で使えば、店員さんの収入になります
-
その収入が、店員さんの給料や次の仕入れに使われます
-
さらに、仕入れ先の工場で働く人の給料になったり、原材料を買うお金になったりします
このように、お金はたくさんの人の間をぐるぐると流れて、社会を動かしています。
もしお金の流れが止まると、買い物も仕事もスムーズにいかなくなってしまいます。
だからこそ、お金の流通(りゅうつう)はとても大事なのです。
お金の作り方を知る
造幣局と日本銀行の役割
「お金はどうやって作られているの?」という疑問には、実際に作っている場所と役割を知ることで答えられます。
-
造幣局(ぞうへいきょく):硬貨(コイン)を作るところ。大阪府に本局があり、広島やさいたまにも工場があります
-
国立印刷局(こくりついんさつきょく):お札を印刷する専門の施設
-
日本銀行(にっぽんぎんこう):日本の中央銀行。新しく作ったお札を「発行」するところです
つまり、コインは造幣局で作られ、お札は国立印刷局で印刷され、日本銀行から社会に出ていくのです。
お金が作られる仕組み
お金は、ただの紙や金属ではありません。とても特別な素材と技術を使って作られています。
なぜなら、「にせもの(偽造)」を作られてしまうと、大きな問題になるからです。
紙幣には、こんな工夫がされています。
-
すかし:光にかざすと、絵が浮かび上がる仕掛け
-
特殊インク:角度によって色が変わるインク
-
ホログラム:キラキラ光って模様が動く部分
-
マイクロ文字:虫眼鏡でしか読めないほど小さな文字
こうした技術のおかげで、本物とにせものを見分けやすくなっています。
印刷と製造のプロセス
お札ができるまでには、たくさんの工程があります。
以下は、お札の製造の流れをかんたんにまとめたものです。
-
特別な紙に印刷をスタート
普通の紙ではなく、丈夫で破れにくい紙が使われます。 -
表・裏にいろいろな印刷を重ねる
色、模様、文字、すかしなどを少しずつ加えていきます。 -
番号とホログラムを追加
一枚一枚に違う番号がついています。 -
検査・チェック
色がにじんでいないか、印刷がずれていないか、目で見てチェックします。 -
完成品を日本銀行へ出荷
チェックを通ったお札だけが、袋につめられて日本銀行へ送られます。
このように、1枚のお札ができるまでには何十もの作業と人の手がかかっているのです。
子ども向けの面白いお金の知識
ごっこ遊びで学ぶお金の使い方
「お店屋さんごっこ」や「銀行ごっこ」は、子どもがお金の流れや仕組みを自然に体験できる遊びです。自分で商品に値段をつけたり、お客さん役と店員さん役を交代したりする中で、「売る」「買う」「おつりを渡す」といった基本的なやり取りを楽しく学べます。
また、レジスターのおもちゃや手作りのお金を使うことで、数字の理解や計算力も身につきます。「これって本当に必要かな?」と考える習慣も育ち、計画的なお金の使い方が遊びの中で自然と身につくのです。
手作り貯金箱の作り方と楽しさ
牛乳パックやペットボトル、空き缶などを使って、オリジナルの貯金箱を親子で作るのもおすすめです。工作が好きな子どもにはぴったりの学びの時間になります。
デザインを自由に工夫したり、「目標金額を書いたシールを貼る」「100円たまるごとに色を塗る」などの“見える化”の仕組みを取り入れることで、貯金の達成感を味わいやすくなります。
「ためる」楽しさを知ることは、将来の金銭管理の第一歩です。遊びながら金融リテラシーを育てましょう。
遊びを通じて身につける金銭感覚
子どもが金銭感覚を身につけるためには、実際に使ってみる経験が大切です。たとえば、以下のような遊びや取り組みが効果的です。
-
「ためる」「使う」「分ける」を色別のポーチで管理
-
1週間分のお小遣いで買い物体験をさせる
-
欲しい物の価格を比較しながら買う習慣をつける
このように、ゲームやごっこ遊びを通して、「お金の使い方には選択がある」ということを実感させてあげることが、無駄づかいをしない力や計画性のある消費行動につながっていきます。
家庭でできる金融教育
早期の教育がもたらすメリット
お金についての教育は、できれば小学校低学年から始めるのが理想的です。早い段階で「お金は大事なもの」「無限には使えないもの」と理解できれば、自然と使い方を考える力が育っていきます。
金銭感覚は、学力と同じく「積み重ね」が大事です。子どものうちからお金にふれることで、将来の家計管理や仕事での給料の使い方にまでよい影響を与えます。
子どもにお金の重要性を教える方法
お金の話は、日常の中で自然に取り入れるのがポイントです。たとえば、買い物に行ったときに「これっていくらかな?」と聞いてみたり、電気や水道代の請求書を一緒に見て「使うとお金がかかるんだね」と話したり。
「おこづかい帳をつけてみようか?」という声かけも、数字や記録の習慣を身につける良いきっかけになります。正解を教えるよりも、気づきを促す対話が大切です。
家庭のお小遣い制度の作り方
お小遣いは、「渡すタイミング」「金額」「使い道のルール」を決めておくことで、金銭教育のツールとして大いに活用できます。
たとえば、以下のような制度が考えられます。
-
毎月1日に定額を渡す(月500円など)
-
欲しい物があるときに、家事をして追加でもらえる「ごほうび型」
-
必要な分だけ話し合って決める「相談型」
家庭に合ったやり方を見つけて、お金を「もらう→考える→使う」までの一連の流れを体験させることが、計画性のある子どもを育てます。
親子で一緒に学ぶお金の価値
日常生活の中で、「これは本当に必要かな?」「これを買ったら、残りはいくらになる?」と一緒に考える時間をつくりましょう。こうした親子の対話が、「値段=価値」ではないことや、「選ぶ力」「がまんする力」を自然と育てます。
また、実際に子どもと一緒に買い物リストを作る、予算を決める、比較して買うといった体験を積み重ねることで、実践的な金融リテラシーが身につきます。
お店屋さんごっこで育む社会性
お店屋さんごっこの楽しみ方
「いらっしゃいませ!」「これください!」とやりとりを楽しむ「お店屋さんごっこ」は、子どもたちにとって最高の学びの場です。段ボールでレジを作ったり、紙で商品を作ったり、本格的に準備することで創造力や表現力も伸ばせます。
兄弟や友だちと一緒に役を交代しながら遊べば、人とのやりとりの楽しさやルールを自然と身につけられます。「おつりください」や「セール中です」など、言葉の使い方やアイデアも広がり、コミュニケーション能力の向上にもつながります。
ごっこの中で「お金が必要」「値段を考える」という要素を加えることで、金銭感覚の基礎を楽しく学べるのが魅力です。
役割分担で学ぶ協力の大切さ
お店屋さんごっこには、さまざまな役割があります。たとえば、
-
店員さん:商品を並べたり接客したりする人
-
レジ係:お金を受け取っておつりを渡す人
-
お客さん:商品を選んで買う人
役割を交代して遊ぶことで、相手の立場を理解する力(共感力)が養われます。「お店をうまく回すにはどうしたらいいか?」と考えることで、協力することの大切さや、仕事の役割分担の意味が自然と伝わります。
「ありがとう」「また来てね」といったあいさつや感謝の言葉を使う練習にもなり、社会性を育てる場として非常に効果的です。
道具の準備と素材の活用法
お店屋さんごっこは、身近にある材料で十分に楽しめます。たとえば、
-
レジ:段ボールにボタンを書いたり、お菓子の箱を活用
-
商品:折り紙やチラシで野菜やお菓子を再現
-
お金:画用紙やコピー紙を使って「お札」や「コイン」を手作り
こうしたクラフト要素を取り入れることで、手先の器用さや創造力を育むことができます。素材を再利用することで、「物を大切にする心」や「工夫する力」も育ちます。
完成したお金やレジを使えば、より本格的な遊びになり、ごっこ遊びがより学びのある時間へと進化します。親子で一緒に作れば、準備から遊びまでが学びの連続です。
お金の知識を深めるための教材
年齢別のおすすめ教材
子どもの年齢や発達段階に応じて、学び方を工夫することが大切です。以下は年齢別のおすすめ教材です。
-
未就学児(3〜6歳):お金の絵本、知育カード、マグネット式レジおもちゃなど
-
小学校低学年(1〜3年生):すごろく、ゲーム形式の教材(例:人生ゲーム風の金銭教育ボード)
-
小学校中学年〜高学年:おこづかい帳、簡単な収支表、家計シミュレーションアプリなど
年齢に合った教材を使うことで、無理なく楽しく学べる環境をつくることができます。子どもが「もっと知りたい」と思うタイミングを見逃さず、教材を通じて知識と実践力の両方を育てましょう。
無料で使えるプリント教材
費用をかけなくても、無料でダウンロードできる金銭教育教材はたくさんあります。代表的なのが、以下のような公的機関の資料です。
-
金融広報中央委員会「知るぽると」:学年別の金銭教育教材
-
消費者庁のキッズページ:契約やお金に関する啓発教材
-
日本銀行や地方自治体の教材配布ページ
これらは信頼性が高く、学校教育にも使われている内容です。印刷して家で使ったり、夏休みの自由研究にもぴったりです。教材にゲーム性やストーリー性があるものも多く、遊びながら学ぶ形式として非常に効果的です。
親子でできるお金の管理ワークショップ
家庭でも、「ミニワークショップ」を取り入れることで、実践的な金融教育ができます。たとえば、
-
一緒にスーパーで買い物計画を立てて、予算内で選ぶ
-
おこづかいを何に使うか、親子で月1回話し合う「おこづかい会議」
-
欲しいものがあるときに、「ためる目標シート」を作る
こうした取り組みを定期的に行うことで、子どもは「使う・ためる・考える」のバランスを身につけます。
特別な道具はいりません。親子の対話が教材そのものです。楽しく会話をしながら、「お金って何?どう使う?」を一緒に考えてみましょう。
まとめ|お金のしくみを親子で楽しく学ぼう
お金はただ使うだけのものではなく、作られ方や役割を知ることで、その価値がより実感できるようになります。特に子どもにとっては、ごっこ遊びや手作り教材など、身近な体験を通して学ぶことが大切です。
この記事で紹介した内容を活用すれば、家庭でも無理なく金銭感覚を育てることができます。
ぜひ親子で「お金ってどうやってできているの?」という疑問を一緒に楽しみながら解決し、将来に役立つ力を育てていきましょう。